基本理念

夜間社会人法科大学院

筑波大学では、全国の大学に先駆けて、平成2年以来、東京キャンパスにおいて、有職社会人を対象として、経営・政策科学研究科(当時)に企業法学専攻を設置し、高度専門職業人養成のための法学の専門教育を行ってきました。

筑波大学法科大学院(設置者:国立大学法人筑波大学)は、この経験を踏まえて、新たに平成17年4月、ビジネス科学研究科内に、法科大学院としての運営の独立性を確保した法曹専攻(筑波大学大学院ビジネス科学研究科法曹専攻(専門職学位課程))として設置されたものであり、社会人を主たる対象とした、もっぱら夜間に開講する法科大学院(「夜間社会人法科大学院」)であるという点に、最大の特色を持ちます。

本学が、法科大学院を設置した主眼は、本学における、これまでの社会人法学教育の豊富な経験と実績を活かして、キャリア転換を目指す社会人のための夜間開講の法科大学院を設置し、それによって社会的な需要に応え、大学院における社会人教育に常に先鞭をつけてきた筑波大学としての社会的な責務に応えることにあります。すなわち、「公平性・開放性・多様性」という法科大学院制度の理念からすれば、昼間働かざるを得ない社会人にも法科大学院において学ぶ機会を与えることこそが、我々の責務であると考えます。

そのため、本学法科大学院では、法律学全般について質の高い教育を行うことを基本とし、その上に企業法学専攻の協力を得てカリキュラムに特色を持たせ、グローバルビジネス、知的財産法、経済法等の法分野における最先端の授業科目を揃える一方、実務に密着したオールラウンドな教育にも配慮して、高度に専門性を有する法曹の育成を目指しています。

アドミッションポリシー

社会人としての実務経験等を有する者であって、法的な問題を発見し、理論的に分析する能力を獲得することによって、将来、すでに獲得した知識・経験・技能と法的な知識・技能とを結びつけて、リーガル・サービスを提供しようと希望する者を求めています。

ディプロマポリシー

法曹養成に特化した実践的な教育を行うことに鑑み、特定の分野に限定した研究指導をすることはありませんが、3年以上(法学未修者の場合)又は2年以上(法学既修者の場合)在学して所定の単位を修得し、リーガルマインドを備えることはもちろんのこと、法的な紛争事案を実務的に処理、解決するための高度な職業意識と専門的な能力を兼ね備え、また、社会状況の変遷に伴って現れる先端的な法律問題にも適切に対応しうる能力を獲得した者に学位を授与することとします。

カリキュラムポリシー

社会人としての実務経験等を有する者に対し、司法試験に合格して法曹実務家となった場合はもちろん、そうでない場合にも多様なリーガル・サービスを提供することができるように、法律基本科目群(35科目)を履修することによって広く法学的な素養、いわゆるリーガルマインドを養い、法律実務基礎科目群(14科目)では具体的な紛争事案を素材として法的な問題を実務的に処理し、解決に導くための手法を身につけ、基礎法学・隣接科目群では実定法とは異なる視点から法に対する理解の視野を広げ、さらに展開・先端科目群を履修することにより、実社会の最先端で生じている法的な問題にも対応することができる実力を備えるための教育課程を編成しています。
働きながら法曹資格の取得を目指す社会人のニーズに合わせて、「長期履修制度」を用意しています。この長期履修制度を利用することにより、勤務等の都合によって、未修者の場合、標準修業年限の3年間では修了が困難と見込まれる場合等には、申請に基づいて、4年間の長期履修が認められます。なお、既修者は3年間の長期履修が選択できます。
入学まで本格的に法学を学んだことのない純粋未修者のため、基礎ゼミ等の導入教育にも力を入れています。また、ICT(情報通信技術)を通じ、社会人学生が教室の外(出張先等)からでも授業を受講できる仕組作りに取り組んでいます。