2012年10月20日 筑波大学東京キャンパス文京校舎にて、
平成24年司法試験合格者による座談会が行われました。
司会 | 本日は、本年合格された3人にお集まり願いました。お忙しい中有難うございます。 まず、社会人である皆さん方が、法曹を目指そうと思われたそもそものきっかけからお話をお聞かせください。 |
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外山 | 私は監査法人で会計士として主に金融機関の監査や財務アドバイザリーに携わってきました。その中で、いろいろと金融業に関する法的規制やstructured financeといった個々の金融商品を見るときに、弁護士の先生方と関わる機会もございまして、そうした過程で、会計・財務というのもそれはそれで魅力的なのですが、そのビジネスが拠って立つ仕組みそのものに携われる法律という分野に非常に興味をもったというのが、そもそものきっかけです。その中で、私はどうしても会計士としてのキャリアを継続していきたかったので、社会人大学院という選択肢を探し、筑波大学ロースクールの存在を知って、法曹を目指そうと決断しました。 |
本木 | 私も会計士として監査法人で働いております。仕事としてはガバナンスやリスクマネジメント、コンプライアンスのアドバイザリーを中心に行っています。そうした専門職として関わる中で、既存の制度ですとか仕組みを理解するというのは当然必要で、それが出来れば当然一流の専門職とも言えます。私も仕組み自体ですとか制度設計に関わっていきたいとの思いが当初からありまして、勉強していくうちに法律に興味を持ちました。そこで社会人大学院の存在などを知り、法曹といった具体的なイメージが湧いてきたおかげで、法曹を目指すことになりました。 |
牧野 | 私はもともと会社に入る前に国際法を勉強していました。ただ、国際関係論から入ったので法学部ではなく、国内の法律をきちんと勉強したことがないため、いつか国内法を勉強したいと思っていたのがひとつです。また、私は海外に進出する方の支援をするという業務に携わっているのですが、〔クライアントが〕抱えている問題のひとつに法律というのが非常に大きなウェイトを占めていて、そういうこともあり、いつか法律を勉強したいなというふうに考えていました。それで、働きながら出来るというところを探すとこの大学がありましたので、入学しました。 |
司会 | 皆さんは法学部以外のご出身ですね。当ロースクールは法学部以外の未修者が非常に多いのですが、皆さんも入学当初は大変苦労されたと思います。その中でも、特にどういった点に苦労されましたか。 |
外山 | 私の場合、ロースクールに入って最初に受けた印象としては、予習が大変だったというのが率直なところです。ただ、内容自体が非常に面白かったですし、私が学んでいた会計学や経営学といったものとはまた違って、非常にひとつひとつ地に足が着いているというか、例えば、民法から入ってもひとつひとつ勉強すれば着実に身になっていくという感じがあったので、1年次のときは大変ではありましたが、面白かったです。ただ、民法や、あるいは会計士試験でもやっていた会社法など、民事系の科目では比較的すっと入れたと思うのですが、公法系や手続法のようなものに関しては、最初のうちはまったく何を言っているのかわからなかったです。 |
本木 | 私の場合、予習はしませんでした。しかし、大半が未修者だということを先生方もご存じだったので、授業には配慮があり、本当に基本的なところから、1から10まで教えてくれるような状況でしたので、あまり苦労はしませんでした。ただ、そのために授業のペースが遅いと感じるところが正直ありました。ですので、予習はしていないのですが、自分のペースで本を読み進めたりしていました。2年次以降の演習科目になると急に速くなってきたので、その分、自分で予習以外のところで勉強を進めていくという部分に多少時間をとって苦労はしました。 |
牧野 | 私の場合、予習は確かに大変だったのですが、初めての知識なので、逆にそれを学んでいくというのが結構面白かったというのがありました。最初は物凄く簡単な「スタートアップ○○」「○○入門」というような入門書のようなものを読んで入っていくようにすると全体像がわかって入りやすかったです。そのうえで、授業をペースメーカーにして教科書を読み進めていくようにしたら大分授業も面白くなって、それ程苦にはなりませんでした。この入門書は、授業中に先生から教えていただいたものもありますし、インターネットとかで評判が良さそうなものを読んだりして、各教科につき1冊という感じで読んでいきました。 |
司会 | ロースクールの授業ですが、2年次になって演習科目が多くなり、予習が大変になったという意見があるのですが、授業の予習復習は大変でしたか? |
外山 | やはり、ご指摘のように、2年次以降になると、予習すべき量というのが非常に多かったので、それをすべてこなすのはタフだったと思っています。個人的には、割とマイペースでやっていましたし、先生方もある程度学生の方の準備のレベルを配慮してくれていましたから、私の場合はあまり無理をせずに楽しむようにやっていましたので、大丈夫でした。 |
本木 | 私の場合、演習に関しても基本的に予習はしなかったというのが正直なところです。予習はそのテーマに関してはしないのですが、基本的に自分でまとめたノートというのが各科目ありまして、それに一通り目を通して授業に臨んでいたので、演習で当てられたことに関しても、それなりにきちんと答えることは出来たというふうに思っています。この方法が適切かどうかは分かりませんが、予習で苦労したということはあまりないです。ただ、自分でまとめるために、復習というか、ひとつひとつ学んだことについて自分の言葉で言い換えて、短いセンテンスでノートをまとめるということをしていましたので、その面では苦労しました。 |
司会 | そうすると、授業の段階でそういうノートをコツコツと作っていらしたということなのでしょうか? |
本木 | そうですね。本番の前日に2、3時間で1科目通読出来るというイメージで、短いセンテンスで1科目をまとめるという具体的なイメージを持って作っていましたので、作成の過程は復習段階で相当苦労しました。作り始めたのは1年次の3学期からです。 |
司会 | それは早いですね。1年次の3学期からですと何が重要なのかというのが分からないこともあろうかと思うのですが。 |
本木 | 基本的に覚えたことは捨ててもいいと思うので、書き直すことが前提でした。具体的なイメージについては、実務家の先生ですとか、チューターで来られている先生などとディスカッションさせていただいて、私なりのイメージを構築しました。 |
牧野 | 私の場合、予習は比較的しっかりやったと思います。演習で課題が出されていた場合、他の人が当たる場合にも、自分で答えられるように準備はしていました。ただ、逆に言えば、在学中は授業以外の勉強はほとんどしなかったので、そこが試験対策としては難しかったということはあったと思います。 教科書は基本的に授業のペースに合わせて読んでいっていたので、授業で最初から最後までフォローした場合には通読は出来ていましたが、必ずしも全部フォロー出来るわけではないので、そういう場合は途中で終わったりしていました。ただ、試験前には1回くらいは読んでおいたと思います。 |
司会 | 皆さんは社会人で仕事を持っていらっしゃったわけですが、大学院もあり、職場もあり、家庭もあるというところで、時間の使い方に大変苦労されたと思います。どういう1日のサイクルだったのか、教えていただけますか? |
外山 | 大学院時の私の典型的な1日をイメージすると、朝起きてから出社するまではその時間しかないので、子供の世話などの家庭の時間にしていて、無理して勉強することはしていませんでした。仕事中は、例えば昼休みなど、10分単位でも時間が空いたときは何かテキストなりノートなりを見直すというような形で、なるべく時間を作るようにはしていました。大学院の授業が6時20分から始まりますので、仕事を早めに切り上げて大学院に来なければならなかったのですが、その後、また仕事の方に戻ったりすることも多々ありまして、すべて終わるのが大体11時くらいでした。ただ、必ずやろうと思っていたのは、その日の中に予習復習は出来なくても、その日の授業でやったことというのを、テキストへの書き込みでもいいですし、レジュメへの書き込みでもいいですけど、何らかの形でメモにし、記録として残しておいて、司法試験の前に集中的に見直せるようにストックしておくというような整理は心掛けていました。その後、無理なく就寝していました。 |
司会 | 授業でやったことをその日に集約していったということですね。 |
外山 | はい、そうです。やはり、3年間という長い期間がありますし、私の場合はその後に司法試験の勉強をしようと決めていたので、あまり無理をせず、潰れてしまわないように、ただ、司法試験にいざ挑むときに、折角やっている授業の内容というか、テキストの行間にあることや、独りでは得られない情報は何なのかということをその場で抽出して数年後に使おうということを常に心掛けていました。 |
本木 | 私も外山さんと同じく、学校が終わってから仕事に行くというような生活は同じでした。修了後の生活をお話しさせていただきますと、平日はやはり仕事があり、勉強出来なかったというのが正直なところです。土日に関しては、朝3時くらいから起きて、20時間くらい勉強していたので、週末にまとめてやるようなスタイルでした。予備校は答案練習だけ受講しました。 |
牧野 | 私の場合、ずっと1年次からやっていたわけではなく、3年次の途中からなのですが、生活を夜型から朝型に変えて朝早く起きるようにしました。8時半から仕事が始まるのですが、7時くらいに行って、そこから1時間半くらい勉強していました。お昼休みとか通勤時間とかの隙間時間には、それ用の薄い本とか重要なレジュメとかを持ち歩いて読むようにしていました。 |
司会 | 皆さんは在学中、1日の勉強時間は平日で大体どれくらい確保できていましたか? |
外山 | 平日の授業のある日ですと、授業時間以外で確保できていた時間は正味2時間くらいだと思います。もちろん卒業後の司法試験の前の1年間というのは集中的に勉強したのですが、中途半端にならないようにというのを一番心掛けていたので、大学院在学時は日曜日もせいぜい半日くらい、6時間くらいに留めていました。 |
司会 | 先の受験を念頭に置いて生活の計画を立て、実行していったということですね? |
外山 | そうですね。ですから、絶対量を少なくして同じことを何回もやらなくて済むように、大学院在学時はその範囲内で、先ほど申し上げたように、授業でやっている内容であるとか、ゼミの仲間たちが作ってくれているレポートであるとか、そういった自分だけの勉強や予備校ないし本からは得られない情報を整理することだけを心掛けていました。 |
本木 | 私も外山さんと同じく、在学中は勉強時間を確保することにはさほど固執せず、ゼロの日もかなりありました。ただ、修了後、司法試験に向けた勉強時は平日はゼロというのはやはり多いのですが、土日は先ほど申し上げたとおり、長時間やるというふうに決めてやっていました。まとめて出来たのも、「どうせ忘れるから」というのが前提にあって、忘れたとしても試験の前にきちんと頭に入っていればよいと思いますし、いずれにせよ繰り返し勉強しますので、それを集約化するようなツールがあれば短時間で頭に入る。それを作るというのを在学中には意識して、勉強は少なかったですが、修了後にそれを自分の頭に浸透させていくということに集中しました。 |
牧野 | 私の場合、平日学校があるときは3、4時間くらいです。予習をきっちりやるとかなり時間がとられるので。ただ、自分は意志が弱いのは分かっていたので、授業の課題が与えられてやるというのは良かったと思います。逆に卒業してからどうしようというのがあってちょっと困ったのですが、ゼミを少人数でやって、それをベースに課題をこなしていく、そうやって勉強時間を確保するというか、強制的に勉強できる状態を作るようにしていました。 |
司会 | 皆さんは授業の予習復習の時間もなかなかとれない中で、受験勉強を強いられるわけですが、どういう形で受験勉強をされていたのか、また授業との両立の問題であるとか、いつくらいから始めたのか、それを今から思うとどうすべきだったのかといったことを、ざっくばらんに伺いたいと思います。 |
外山 | 私の場合、司法試験の勉強を意識して始めたのが、正直なところ、卒業後というか、単位を全部取り終えた3年次の2月からでした。テクニカルな部分については、自分で出来るのではないかと入学当初から思っておりましたが、ただ、他方でテクニカルなものだけでは司法試験は受からないということもすごくよく聞かされていて、実際自分も受けてみてそうでしたので、テクニカルなものでカバーできないことを3年間で筑波から学び、それを自分のテクニカルな勉強の上に乗せていくというイメージで受験期間を過ごしていました。 |
司会 | そうしますと、ロースクールで学んだことを土台にして、2時間の答案として書き上げるというテクニカルな部分については卒業してからも充分だと思ったし、実際そうだったということですね。 |
外山 | そうですね。卒業時点ではいろいろなことを教えていただいて、良いノートも出来たし、考え方の基本というか、議論の基本というのは学べたと思っているのですが、それを実際に答案にテクニカル・タームで繋げていったり、理論補強するだけの知識のまとまった体系というのはまだ覚束なかったので、卒業後はそこを固めました。一番最後にやったことは、ある程度皆が書けるようなことは書けるようになった上で、さらに付加価値として、授業中に教えていただいたような視点というものを付加価値として上に乗せることで良い答案が書けるように、というような勉強の仕方を心がけました。本試験直前での、在学中の書き込みや講義で戴いたレジュメ等の読み込みは非常に効果的だったと思います。 |
司会 | 外山さんの場合は、もともと無理して修了年に合格するということでは考えてらっしゃらなくて、ある程度長期的に自分のサイクルを考えて計画していたということですので、それで上手くいったということですね。 |
外山 | そうですね。結果的には計画通りにいきました。私は卒業までは司法試験の勉強は一切しないと決めていましたし、そこから2年間と期限を決めていましたので、その2年間をどうやって使うかということでやってきました。修了してからは在学時より時間が出来るので物理的にはしやすくなるのですが、ただやはり職場や家族との関係でも、いつまでもやっているわけにもいかなかったので、期間を区切るというのは明確な目標として持っていました。修了年に受験したわけですが、5年間で3回受ける権利を持っていても意味がないので、卒業年度は短答合格を目標として、受験しました。その意味では、本試験そのものをマイルストーンとして、自分なりのペースを作って行けたので良かったと思います。 |
本木 | 私の場合、1年目は願書を出せずに終わりまして、修了直後は司法試験を受験出来ませんでした。ですので、じっくり腰を据えて1年間準備をして、修了1年後に受験しました。そこで、ロースクールで学んだ知識や教えてもらった知識だけだと司法試験には合格できない、自分で勉強しなければいけないなと思う部分もありました。ただ、ロースクールで教えていただいた判例の読み方ですとか視点というもののおかげで、自分で勉強しても理解し実践できるような力は身についていたので、すんなりと受験勉強が出来ました。ロースクールに感謝しています。 |
司会 | その年に受験しないということを決めて、1年間余りの計画を立てたということですか? |
本木 | はい。短答だけ受かるために短答だけ勉強してしまうと、知識や時間も分散してしまって、合格レベルの論文を書けるようになるための勉強時間を十分に確保出来ないと考えました。いかに論文のキレを良くするかが社会人受験生にとっては重要だと個人的には考えていまして、そのために長い試験勉強期間をとったと言えます。 |
司会 | どのような1年間のスケジュールを立てたのですか? |
本木 | いつまでにこれをというものは立てずに、一科目ずつ、3ケタ順位レベルの論文がかけるまで次の科目を勉強しないという形で勉強を進めていって、7科目プラス選択科目の8科目分をやり切ってから受けるというふうにスケジュールを立てていました。ですので、間に合わなかったらその次の年も受けていなかったかもしれませんが、結果として1月くらいには終わったので、5月に受験することが出来ました。 |
牧野 | 私の場合、今回、2回目で合格することが出来たのですが、1回目の直前に何をやったかというと、条文の素読と、各教科でひとつ、解説付きの演習問題を見るというような感じでした。結局、短答まで手が回らなくて落ちてしまったのですが、後から考えると、条文を読んでいたというのが役に立ったと思います。試験対策というところでは、1回目を受けた後で、独りではしんどいなと思い、自主ゼミ形式で1週間に3科目、各科目で演習本を決めて3通答案を書いていくというのを毎週7月から3月くらいまでやりました。1年間で100通以上書いたと思うのですが、やはり数をこなすとそれなりの力も付くなというふうに思いました。 |
司会 | 答案を書きあって、お互い批評しあうゼミをするときに注意した点というのはありますか? |
牧野 | なるべく疑問を残さないというか、ここはどうなんだろうと思ったところはどんどん言い合うようにしていました。中身のところでは限界はありますが、テクニカルな部分は言い合って出てくるところがあると思います。そういうふうに、疑問点はなるべく議論するようにしていました。他人に答案を見てもらうと、他人がどのように見ているのかという客観的な意見がわかりますし、また、本を読むだけではなくて、書いて自分の考えを整理するということが出来たので、とても良かったと思います。 |
司会 | これから筑波に入られる方、あるいは社会人経験をもって法曹を目指している方たちに何かアドバイスがあれば、一言ずつお願いします。 |
外山 | 仕事を続けながら法曹を目指すという大変崇高な志と意気込みをもって入って来られる方ばかりだと思いますが、私自身がそうしていたことなのですが、あまり無理をして計画を立て過ぎないことが一番だと考えています。私の場合は寧ろ、法曹になった後にどうしていくのかということを考えて過ごしていましたので、今の仕事も疎かには出来ないと思っていましたし、そういった中で、3年間ですべてをこなしていこうという無理な考え方ではなくて、もっと長期的に考えて、じっくりと勉強していけば良いのではないかと思います。キャリアを持続しながら法曹になることは、必ず付加価値になると思います。 |
本木 | 世間では法曹が不人気だとか言われていますが、私個人としてはまだまだ法曹の魅力というのは少しも薄れていないと思うので、是非、興味のある方は目指してもらいたいと思います。社会人として筑波に通って法曹になりたいという方に私が申し上げたいのは、社会人として夜間で勉強するということはあまりハンデにはならないということです。勉強期間が長いので長距離走のようなものをイメージするかもしれませんが、最後の論文でその瞬間に良い論文が書ければ合格出来ますので、最後は寧ろ短距離走で、今まで積み重ねてきたものを1回1週間で回すというような短期集中の勉強法でも受かることが出来ます。また、合格後に自分の専門性をより磨いていくという面では、働きながらの方が有利な部分も当然ありますから、全くもって社会人だからとか、仕事を持っているからということを理由に法曹を目指すことを断念しないで欲しいと思っています。 |
牧野 | 会社の同僚で法曹に関心があるという方からも話を聞かれたりするのですが、やはり働きながらはなかなかお勧めはできないなというのが正直なところです(笑)。自分がしんどかったということがあるので。ただ、楽しみながらやるとか、法曹になった後にどうするといった目標ラインがあると、無理をしない範囲でやれば出来るかなと思うところはあります。私自身も社会人であることがハンデだとは全然思いませんし、寧ろ、そこが強みになる部分も結構あると思いますので。ただ、本当にしんどいですけど(笑)。法曹の就職が厳しいという話はよく聞きますが、私が仕事で携わっている国際分野などではミスマッチもあって、人材が足りなかったりします。社会人だからこそそういったプラスアルファを付けることができるので、どんどんそういう方が増えれば良いなと思います。 |
司会 | 最後に、皆さん法曹資格を得たわけですが、今後この資格をどのように使っていくかということを含めて、抱負をお訊きしたいと思います。 |
牧野 | 私は今、会社で国際的な企業活動の支援に従事しているのですが、法律的な側面から貢献できるような仕事が出来れば良いなと思っています。それと、私は転勤で地方の事務所にいたことがあるのですが、中小企業の方とお付き合いする機会が多く、そういう企業だとなかなか法律にまで目が届かないというのが現状です。そういう面で貢献できるようなパブリックな活動はやりたいなと思っています。 |
本木 | 私は公認会計士、公認情報システム監査人という資格を持っていて、趣味とかボランティアで農業もやっています。そういったバックグラウンドを活かしていきたいと思っているので、ちょっと広いのですが、M&Aや倒産処理、情報セキュリティやITのガバナンス、第一次産業の制度設計や制度改革に従事していきたいという思いがあります。ですので、こういったところを自分の専門として立てられるように、より研鑽していきたいと思っています。 |
外山 | 私の場合、在学時は金融業クライアントの監査・アドバイザリーを中心にしていまして、現在はコンサルティングファームでコンサルティングをやっているのですが、弁護士になった後も、最初は金融インダストリーの中でスタートしたいと思っています。いわゆる金融法務です。そこで、これまでの知見も活かして、ストラクチャーを組むときにどういった会計上・税務上のインパクトがあるのかとか、そういったことをある程度ワンストップで出来るようになりたいと思っています。直近のテーマとしては、サブプライム以降、グローバルな金融規制の締め付けがどんどん進んでいきますので、そうした分野で弁護士としてやっていきたいと考えています。ただ、それも入口のところで規制対応するにとどまらず、規制対応するにあたっては当然その後にITシステムの導入といったプロジェクトがクライアント側には控えていますし、従来とは違った形態での資金調達等も必要となって来ると思いますので、そういったところでも、今までの監査法人ないしコンサルティングファームでの経験を活かして、プロジェクトマネージャーのような仕事が出来るような視点を持った弁護士になりたいと考えています。また、個人的な思いとしては、やはり、会計士としてやってきた経験もありますので、粉飾決算といった証券訴訟の分野で、監査や会計業界の常識がなかなか法廷で主張が尽くせてないのではないかということもあるかと思うので、そういったことを法廷用語できちんと主張すべきことは主張できるような訴訟をやっていきたいと考えています。 |
司会 | 本日はお忙しいところ有難うございました。 |
司会雑感
それぞれ忙しい中、授業を有効に利用しつつ、司法試験を見据えて長期的計画を立てて、それをこつこつ実行していった様子がよくわかりました。やはり最後には執念がものをいうということです。それぞれの専門分野でトップを目指して精進されるようエールを送りたいと思います。