令和5年11⽉司法試験合格 K.Y.さん

2022年4⽉ 筑波⼤学法科⼤学院既修コース⼊学
2023年11⽉ 司法試験合格(在学中合格)
2024年3⽉ 筑波⼤学法科⼤学院既修コース修了

1.法科大学院入学の経緯

令和元年から令和3年まで予備試験を受験していましたが、論文式試験を突破できませんでした(合格したら退学しようと思い受験した令和4年も論文式で不合格でした。)。原因は、論文式受験から、勉強を再開するまでに仕事にかまけて時間が空いてしまい、短答式の直前期を迎える悪循環にあったと思います。そのため、ある程度、継続的かつ強制的に勉強の機会を得られるロースクールに入学することを決意しました。

2.学生生活

コロナ禍が続いていることもあり、ハイフレックス講義についてはほぼオンラインにて参加しました。仕事もコロナ禍を契機にリモートスタンダードになり、ほぼ在宅勤務となりました。そのため、平日は、10時から18時20分までは在宅勤務をし、18時20分から21時まではオンラインで講義参加、21時から24時は仕事のメール対応のほか、副業をしている大学の非常勤教員の仕事などをしていました。講義の予習や司法試験の勉強に充てる時間を深夜0時から4時までとしていました。

ただ、この時間帯は「自分の時間」と位置づけ、必ずしも4時間勉強していたわけではありませんし(息抜きにRPGゲームを進めていたこともあります。)、反対に終わらなければ朝6時頃までやることもありました。

週末の土日は12時間程度確保しました。土曜日は、オンデマンドを含む講義の受講、日曜日はできる限り司法試験に特化した勉強に充てるようにしていました。しかし、それでも既修1年次は、在学中受験に向けた単位取得のハードルが高く、週末も予習を終えると日曜日の16時頃になっていたこともあります。

なお、日曜日23時以降は完全オフの時間と決めていました。
このように、移動時間がないことを前提にしたギリギリのスケジュールで、常に自転車操業の状況でした。

3.司法試験に向けた勉強

これまで予備試験を複数回受験していた学生にとっては、ロースクールの講義は基本的にはこれまでの復習であり、総まとめとなるはずです。予習の段階で、当該範囲の「復習」をし、講義当日は、論証集など一元化教材を手元に常に置き、都度確認しながら受講していました。教員も司法試験を意識した内容で講義をしており、必要なアップデートもでき、全般的に役立ったと思います。また、社会人学生は、可処分時間がありません。そのため、講義で習ったことは次に見るのは本試験かもしれないという危機感を持って、集中して聴くことができました。

しかし、講義だけでは過去問の答案作成ができません。そこで、自由参加型のチューターゼミに行政法、刑法以外、参加していました。また、参加するからには、答案を作成し、講師の添削を受けるように心がけていました。この他、講義で言及のあった過去問は参考答案だけでも確認するようにしていました(このとき、設問3つあるうちの1つだけでも構わないと考えていました。)。このようにコツコツと積上げることで、まとまった時間がなくとも、試験直前までには、ある程度は過去問を網羅的に確認することができました。

4.在学中受験を決めた2つのターニングポイント

在学中受験を絶対にしようと決めていたわけではありません。社会人学生は、通常の講義だけでも忙しく、また、キャリア的には無理に受験する必要はないので、在学中受験をするか否か、各々、考慮要素があると思います。

私の場合、在学中受験を可能にすべく1年次に40単位をフルで取得していたうえ、以前に大学院修士課程に在籍したときの取得単位で、6単位認められていたので、2年次に必要な単位が20単位を切っていました。そのため、中弛みを懸念して受験を決めました。

とはいえ、能力的な面も重要です。その指標として、令和4年予備試験論文式の点数(合格最低点との差3点程度)、2023年4月下旬のTKC模試(上位13%)の結果を踏まえて受験するか決めました。司法試験は、試験にだけ集中できる環境の受験生が大半のため、模試などの段階である程度余裕を持っていないと、追い抜かれると思ったからです。

なお、司法試験が令和5年から7月に実施されるようになったこともあり、受験に当たっては、試験1週間前から夏季休暇を取得して、夏季休暇と有給休暇で合わせて2週間の休暇で乗り切りました。司法試験最終日の翌日は祝日でしたが、溜まった仕事の対応で勤務していました。

5.司法試験に向けた勉強

おそらく、特別なことをしていません。フルで答案を書いたのは、チューターゼミのみです。また、期末試験や演習を除き、手書きで答案を書いたことはありません。それ以外は過去問を解いて、参考答案、出題趣旨、採点実感を読み、論証や趣旨・規範を都度確認するという繰り返しでした。また、予備試験を受験していたので、予備試験の過去問題は全部確認しています。

既に過去問が蓄積されているので、おそらく、これらをやるだけでも社会人受験生はかなりきつく、全部終わらないまま本試験に入ると思います。そのため、間に合わない場合は、最低でも過去問5~7年分は見るべきだと感じています。

6.最後に

ロースクールに通えたのは、コロナ禍というタイミングが大きく、時の運があったと思います。また、在学中受験できたこと、また合格できたのも、振り返れば運の要素が大きいと思います。司法試験制度は他の国家試験と比較すると、変化が著しいです。予備試験の合格率の厳しさと、それとは対照的な最近の司法試験の合格率を見ると、今は、ロースクールに通えて、受験資格を得ること自体が1つの優位になる時代だと思います。チャンスを活かして、司法試験に合格することを祈念いたします。