令和5年11⽉司法試験合格 K.M.さん

2021年4⽉ 筑波⼤学法科⼤学院既修コース⼊学
2023年3⽉ 筑波⼤学法科⼤学院既修コース修了
2023年11⽉ 司法試験合格

1.法科大学院⼊学の経緯

 私は、大学病院で研修医管理に関する業務を担当する部署に所属しています。研修医管理にあたっては、労働法規についての知識が必要だと考え、勉強を始めていました。そして、法律についての勉強をしている中で、より詳しく学んでみたいと思うようになり、司法試験(予備試験)の勉強を始めることにしました。

しかし、予備試験の合格は決して容易なものではなく、何年も勉強しても合格できるか分からなかったことから、より司法試験の受験資格取得を確実にしようと思い、法科大学院入学を検討するに至りました。また、私は司法試験(予備試験)に出題される科目に限らず、法律分野について広く知識を得たいと思っていたことから、法科大学院で学ぶことができれば、法律基本7科目に限らず、幅広い法律知識を学ぶことができるのではないかと考えたことも法科大学院入学を考えた理由の1つでもあります。

働きながら通うことができる法科大学院は限られており、筑波大学の法科大学院は職場からも近く、ここであれば通学できそうだと考え、筑波大学法科大学院を目指すことにしました。

2.筑波大学法科大学院での学生生活

 最初は、法科大学院の授業に慣れるまでが大変でした。コロナ禍での学生生活ではありましたが、少しずつ対面での授業が拡大してきている時期であり、オンラインでの授業参加もできる中、できる限り茗荷谷のキャンパスで授業を受けようと努めていました。当初は期末試験の対策などをどうすれば良いのか戸惑うことが多かったのですが、同じようにキャンパスに来て学ぶ同期の友人にも恵まれ、こうした同期との協力により期末試験等を乗り切ることができました。

既修1年目夏頃からは、演習系の授業も始まり、講義の時間と同じくらい予習にも時間を取られるようになりました。予習よりも復習に力を入れる方が効率的だという方もいますが、私は授業前に必死に予習をすることでかなり考える力がついたのではないかと思っています。また、期末試験の対策や講義の予習・復習をこなすうちに、徐々に答案を書く能力も向上してきました。

筑波大学の授業では、法律基本7科目以外の実務基礎科目や基礎法学/展開・先端科目の授業内容も興味深いものでした。筑波大学では、いくつかの他の国立大学の講義を履修することもでき、より広い学びの機会が与えられています。司法試験の勉強だけでなく、こうした幅広い法学の知識を得られたのも、私にとって貴重な経験でした。

3.自主ゼミ

 私は、法科大学院の1年目から、同期の友人と一緒に自主ゼミを行っていました。自主ゼミの良いところは、1つには定期的に起案をする機会があることです。司法試験の勉強は長期間になるため、特に仕事をしていたりすると、どうしても仕事が忙しいことを理由に、起案といった時間が取られる作業を先延ばしにしてしまいがちです。しかし、定期的に自主ゼミを行って集まることで、強制的に起案をする機会を作ることができました。一人だとサボりがちになってしまうところが、ゼミの仲間がいるからきちんと続けることができるようになります。結果的に、約2年間の自主ゼミで作成した起案の量はかなりの量になりました。

2つ目には、自分一人だと分からなくなってしまうことでも、複数のメンバーで議論することで、理解できるようになることがあります。筑波大学法科大学院の同期たちはみな優秀で、自分一人では気付かなかったようなことを気付かせてくれます。こうした友人たちの助言が司法試験の勉強に非常に役に立ちました。

また、司法試験の勉強は長期間にわたるので、同じように頑張っている友人がいることは自分にとってとても心強かったです。同じ目標に向かって努力する友人がいることで、長い司法試験の勉強を乗り越えることができたのではないかと思っています。

周囲をみていても、大学の仲間と自主ゼミを組んで、一緒に勉強をしている学生の方が合格率は高いような気がしています。一人で黙々と勉強をして合格している同期学生もいましたが、筑波大学法科大学院に入ったら、ぜひ優秀な大学の仲間と自主ゼミを組んで勉強することを検討してみてください。

4.法科大学院修了後

 筑波大学の授業は、既修2年目の12月で実質的には終わりになります。それからは、筑波大学のエクステンション講座や自主ゼミ、予備校の総まとめ講座の受講などをしていました。また、短答対策として、すき間時間に肢別アプリを行っていました。

4月・5月で2つの模擬試験を受けました。仕事の関係で、いずれも会場受験はできず在宅受験でした。振り返ってみると、模試の成績と司法試験の成績は必ずしも一致していない印象を受けています。ですから、あまり模試の結果に一喜一憂しなくても良いように思います。ただ、司法試験受験生にとって、模試を受けないと客観的な論文能力の評価がないので、自分の立ち位置が見えにくいと思います。そうした中、自分の受験生全体の中での立ち位置を知る、というのには役立つと思います。また、多くの受験生が受ける模試の論点は、これが出ると模試を受けた受験生とそれ以外とで差がついてしまうので、代表的な模試ぐらいは受けておいた方が良いと思います。

5.最後に

 社会人受験生にとって、家族や職場の協力は不可欠だと思います。私の場合、職場に関しては、裁量労働制ということもあり、相当融通が利いたのがありがたかったです。また、妻の協力がなければ、司法試験合格には至らなかったと思います。3年以上の受験勉強を支えてくれた妻には本当に感謝しています。

社会人の皆さんが司法試験合格を目指す理由というのは様々だと思います。社会人にとって、仕事を継続しながら法科大学院に通い、司法試験に合格するというのは決して容易なことではありません。しかし、筑波大学法科大学院は、その可能性を社会人の皆さんに提供してくれる場だと思います。この機会を大いに生かして、後輩の皆さんがそれぞれの目標を達成して下さることを心から願っております。