令和5年11⽉司法試験合格 Y.C.さん

2018年4⽉ 筑波⼤学法科⼤学院既修コース⼊学
2022年3⽉ 筑波⼤学法科⼤学院既修コース修了
2023年11⽉ 司法試験合格

1.⼊学の経緯

 私は旧司法試験制度下での長い受験歴があり、総合成績A(論文試験)で何度か落ち続けた後、断念して大手電機メーカーに就職し、企業法務としてのキャリアをスタートしました。

その後も弁護士になるという目標を捨て切れず、仕事を続けながら予備試験ルートでの司法試験合格を目指したものの、予備試験の狭き門にチャレンジし続けることに限界を感じ、40台半ばで転職すると同時に筑波ローに入学しました。ちなみに、高い費用と労力をかけてでも筑波ローに通うことを決意したのは、企業の法務部に占める社内弁護士の割合が年々上がってきていることへの焦燥感もありました。

2.学校生活

せっかく入学した筑波ローではあったものの、転職と重なったこともあり、最初の1年間は学業よりも仕事優先で過ごしていました。そのため、授業も欠席や遅刻が重なり、進学に必要な単位を取ることができずに留年(1回目)をすることとなりました。『既習コースで入学して留年する人は今まで見たことがない』と当時の担任の先生から言われた時には顔から火が出るほど恥ずかしかったですが、無理をして健康を損ねてしまっては元も子もないので、“その時々で出来る限りで”という気持ちで淡々と留年後の2年目を乗り切りました。2年目より以降はコロナ過でオンライン授業がメインとなったことや、転職先での仕事にも慣れてきたことから、勉強に集中できるようになったものの、3年目に親の介護問題が発生し、疲れから必修科目(刑法総合演習Ⅰ)の期末試験の終了時間を30分間違えるという大失態をしてしまいました。追試も受けられないほどの途中答案となってしまい、さすがにこの時はひどく落ち込みました。しかし、今振り返ると、刑法総合演習Ⅰを翌年に履修し直したことが、結局、最終合格につながったように思います。

気を取り直して臨んだ学生生活最後の4年目は、刑法総合演習Ⅰだけを履修し、後はひたすら翌年の新司法試験受験に向けて、コツコツと試験勉強を続けました。私は自分のペースでじっくり勉強をしたいという気持ちが強く、結局ゼミを活用することはなかったのですが、日々の授業を通じた先生方からの学びは大きく、モチベーションの保ち方含め、受験の心得なども色々と参考にさせていただきました。

3.普段の学習

 正直なところ、1年目から3年目までは授業の課題をこなして、期末試験を乗り切り、単位を取ることで手一杯でした。4年目は刑法総合演習Ⅰの履修期間のみ在学し、残りの期間は休学していましたので、さすがに時間的余裕があり、論文対策としては、複数の司法試験の予備校の答案練習会(論文のみ)を通信で受講し、ひたすら論文を書き、配布レジュメをじっくり読んで復習をすることを繰り返していました。択一に関しては、旧司法試験時代と同じ勉強方法を維持し、憲・民・刑につき、有斐閣の判例六法の条文と判例を全部読むこと、予備校の択一答練・公開模試2年分を繰り返し復習することがほぼ全てでした。上記以外に、特に苦手な科目については大学院の授業で配布された教材、判例百選、定評のある演習書を使って補強していました。モチベーションを継続するために、3年目以降は毎日手帳に勉強時間をつけていたのですが、平日は1~2時間、土日祝日は4~6時間くらいで、旧司法試験時代に12時間近く勉強していた頃と比較するとかなり少なかったと思います。

勉強も大事ですが、健康あってのことなので、十分な睡眠時間の確保、栄養バランスの取れた食事、運動、適度な気分転換にも力を入れていました。

4.司法試験

 私は運よく2回目の受験で合格することが出来ました。しかし、当日の体調や試験の手ごたえは、むしろ1回目の受験の方がはるかによかったと思います。とはいえ、やはり準備がまだ足りていない部分があり、1回目の不合格を確認した後はとにかく弱点(公法系科目)を補強するための学習を1年間続けました。2回目の受験まで同じようにモチベーションを保つことが出来たのは、1回目の成績がほぼ自分の手ごたえと合っており、得意の民事系科目は満足のいく成績だったからです。

2回目の受験は二日目以降に体調不良にみまわれ、最終日の択一試験以外はとにかく辛かった記憶しかありません。しかし、冷静に振り返ってみると、複数の科目で直前に目を通していた箇所から出題される等の幸運に見舞われ、手ごたえは全体的に悪かったにもかかわらず、結果は予想と随分異なっていました。最終合格する時というのは、案外そんなものなのかもしれません。

4.最後に

 1発合格や少ない受験回数で合格できるに越したことはありません。しかし、法曹になりたいという気持ちが残っている限り、周りが合格していく中、自分はなかなか合格できなかったとしても決してあきらめないことが大事だと思います。最後まであきらめずに勝ち取った合格はまた格別の喜びです。

筑波ローで学ぶ皆さんの最終合格を心より応援しています。