令和4年9⽉司法試験合格 S.N.さん

2020年4⽉ 筑波⼤学法科⼤学院既修コース⼊学
2022年3⽉ 筑波⼤学法科⼤学院既修コース修了
2022年9⽉ 司法試験合格

1.はじめに
 筑波⼤学の⼊学を思いたったのは、法律の知識をスキルとして⾝につけないといけない、と考えるようになったからです。
 私は、⼤学病院で、院内で発⽣した医療事故やその調査、患者との紛争等を扱う、医療の安全に関わる部署に所属しています。当該部署の特殊性もあり、法律の知識が必要と考え、勉強を始めていましたが、正確で専⾨性のある知識を習得しないといけないのではないかと、⽇に⽇に感じるようになっていました。そんな中、働きながら⾏ける法科⼤学院がないか、調べていたところ⾒つかったのが、筑波⼤学でした。そのとき、「合格者からのメッセージ」を読み、ここなら司法試験にも合格できる知識を習得できるのではなかと考え、⼊学に向けた準備を進めました。
 司法試験が最難関の試験といわれているものの、全体の合格率をみると昔ほど難しい試験ではなくなっているように⾒えました。合格した後でも感じるのは、簡単な試験ではないことには変わりはありません。しかし、しっかりとした学習をすることで、誰でも⼗分に合格できるものと感じています。
 筑波⼤学には、下記に述べるよう、合格に必要なカリキュラムや設備等が準備されています。司法試験を⽬指しているのであれば、とても良い法科⼤学院であると感じています。

2.筑波⼤学の学⽣⽣活
 筑波⼤学での学習について、①授業、②チューターゼミ、③学習設備、④その他の4つの点から述べます。
(1) 授業
 私は、既修者枠で⼊学をしたため、憲法・⺠法・刑法・⺠事訴訟法・刑事訴訟法(⼊学試験の科⽬に該当)については、基礎講義が免除されました。そういったこともあり、基礎講義があった司法試験の試験科⽬は、⾏政法と商法の⼆つの科⽬でした。それ以外の授業では、実務科⽬や司法試験の選択科⽬(労働法や国際公法等)、基礎法学の科⽬(法哲学や⽴法学等)がありました。授業で配布された資料は、司法試験まで使⽤したものが少なくありません。それだけ、内容が⼗分な資料であったと思います。
 司法試験を受けてみて感じるのは、条⽂と判例の学習が重要であるということです。事案を解くためのスタートは条⽂であり、解釈が必要となる際に参照すべきは判例となります。筑波で配布されたレジュメは、これらの基礎的で重要なポイントを押さえてくれているため、そういった点から最後まで活⽤できたのだと思います。
(2) チューターゼミ
 チューターゼミは、筑波卒業⽣等の現役弁護⼠がチューターを務めてくれるゼミで、科⽬ごとに開催されるゼミと、学⽣で組んだゼミに担当のチューターがついてくれるゼミ(個別ゼミ)の2種類のものがあります。いずれのゼミでも、学⽣の希望に沿った内容で開催してもらうことができます。違いは何かといえば、全体に開かれた誰でも参加できるゼミか、特定の学⽣で実施するゼミかの違いとなります。
 私は、チューターゼミの中で個別ゼミを⽉1 回程度で利⽤しました。授業は、決まった期間に決まった科⽬だけになってしまうため、苦⼿な科⽬や特定の科⽬から離れすぎないようにするために利⽤しました。⾃分の学習のペースに合わせてアレンジができるため、授業の間隙を埋めるために活⽤することができました。
(3) 学習設備
 筑波⼤学では、⾃習室が24時間使えて、ゼミ室も(予約制ではありますが)開放されていて、⾃由に⼤学の学習設備を利⽤することができました。仕事の終わりに⾃習室を活⽤でき、休みの⽇には学⽣で実施する答案練習会等のためにゼミ室を使うことができました。学⽣同⼠で、お互いに励ましあいながら学習できる環境があったと感じています。
 特に有意義だったのは、試験直前期に毎週ゼミ室を使い実施した答案練習会です。直前期には、司法試験の過去問を題材に起案するのが効果的な勉強になると考えました。
 そこで、過去問を学⽣同⼠で起案し、ディスカッションをして理解を深めました。それにより、書くことにも慣れ、本番の試験に向かえたと思います。
 こういった学習を実施できるのも、⼤学が施設を開放してくれていたからです。いつでも使える学習設備が整っていることは、学習することだけでなく、学⽣同⼠のつながりを作るために、とてもありがたい場であったと感じています。
(4) その他
 私の場合、⼊学直前に新型コロナウィルス感染症が流⾏してしまい、授業がオンラインやオンデマンドになるなどしたため、始め⼤学⾃体に馴染むことができませんでした。しかし、筑波⼤学ではそれをフォローしてくれる企画がたくさん⾏われました。
 今でこそ、オンライン等の授業は珍しくありませんが、⼊学早々から急遽オンライン等の授業となり、右も左もわからないまま学⽣⽣活がスタートしました。そういった中でも、時折、教員や学⽣同⼠の交流の場を設定してもらえることはとてもありがたい企画でした。こういった企画があったからこそ、⼀緒に学習する仲間に出会え、共に合格できたのだと思います。

3.おわりに
 いま、司法試験に合格するチャンスのある状況にあります。そして、司法試験に合格するために必要⼗分なものが、筑波⼤学には備えられています。もちろん、⼊学して卒業すれば、全員が合格できるとは必ず保障されるものではありませんが、⾃分の取り組み⽅次第で、良い結果をつかむことはできるはずです。
 法律の勉強をしたい、司法試験を受けたい、そう考えている⽅には筑波⼤学を強くお勧めします。法科⼤学院構想⾃体が、多様なバックグラウンドを持つ法曹を育成することを⽬的としているのであり、仕事を辞めずに通える筑波⼤学は、社会のニーズに応じている⼤学院といえます。また、社会⼈を対象としていることもあり、カリキュラムなどからも、社会⼈の⽅に特に勧められる法科⼤学院といえます。
 ある教員の先⽣は、司法試験は⼿段であってゴールではない、といった内容の話を授業等で熱く語ってくれました。確かに、司法試験の合格は、法曹になるための⼿段であって、受かればそれで終わりとはなりません。こういった、司法試験合格後のことも⾒据えた授業を受け、学習できることも筑波⼤学の魅⼒です。
 ⾃分の勉強次第で、必ず良い結果が得られると思います。筑波⼤学に⼊学し、司法試験の合格をつかみ取ってください。応援しています!