令和4年9⽉司法試験合格 H.F.さん

2019年4⽉ 筑波⼤学法科⼤学院未修コース⼊学
2022年3⽉ 筑波⼤学法科⼤学院未修コース修了
2022年9⽉ 司法試験合格

1.⼊学のきっかけ
 社会インフラ系の企業で事業部⾨に所属し、海外事業を担当してきました。海外勤務から帰任後、東京での勤務がしばらく続きそうだったので、その間に何か強みとなるスキルを⾝に付けたいと考えるようになりました。仕事で契約交渉の機会が多くありましたので、交渉で相⼿を説得するために緻密に物事を考えられるようになりたいと思っていました。そこで、この分野を強化するために司法試験を受験することを決めました。

2.在学中の勉強⽅法
 ⼊学直後から、平⽇は就業時間後、学校のある茗荷⾕へ急いで移動し、授業後に⾃習室に残って2 時間程度過ごして⽇付が変わる頃に家に帰るというパターンの⽣活を繰り返しました。⼟曜⽇は、朝から学校へ⾏き、授業の合間や授業後は、学校内の図書館や⾃習室で勉強をしました。
 毎⽇夜遅くまで⼤学院に残って勉強していたため、⽣活リズムに慣れるまでは、その反動で業務時間中に眠気を感じることがあるなど、⾝体が慣れない部分もありました。また、授業に間に合わせるために、平⽇の終業時前後は⾮常にバタバタすることが多かったです。残業をしていては授業に遅刻してしまうので、処理しきれなった業務は、次の⽇早めに出社し、始業前には処理するようにしていました。
 海外出張の際には、出張先のホテルや空港のラウンジからオンラインで授業に参加していました。
在学途中にコロナ禍となり、授業の⼤部分が、オンラインまたはオンデマンドで開講されるようになりました。オンラインやオンデマンドだと、その場で気軽に質問することが難しいなどの制約を感じることもありましたが、他⽅で、移動に要していた時間を節約できるようにもなりました。実務的な科⽬も加わり、次第に⾼度な内容となりましたが、時間的には少し余裕をもって授業に出席できるようになりました。
 最終年次になると演習科⽬も始まりました。私は論⽂のアウトプットをそれまであまりせず、インプット中⼼に⾃⼰学習をしていたため、毎回、準備不⾜の感が否めませんでした。勉強が進んでいる⽅と⽐較して、書き負けていると感じる状況でした。そのようなときに、同期⽣が声をかけてくださり、起案⼒を強化する機会を得ました。これは、演習科⽬で起案した後に、⾃主的に集まってもう1通、起案してから帰宅するというものです。この繰り返しによって、少しずつですが、制限時間内に思考過程を⽂章にしていくトレーニングを積むことができるようになりました。まだまだ不⼗分な部分を感じながらも、試⾏錯誤を繰り返している過程の途中で、ロースクールの修了を迎えたような状況です。

3.本試験直前
 ロースクールのカリキュラムは実質的に12 ⽉まででしたので、それから試験までの4か⽉間は⾃主的な勉強の時間となりました。演習科⽬の後に起案に誘ってくれた同期⽣と、その間も週末に集まって起案をしました。起案後に不明だった部分などを議論して疑問を解消し、理解するということを繰り返しました。
 司法試験の⽇程と同じように1⽇に複数の科⽬を解くと、例えば、⼿が痛くなって書くスピードがだんだん遅くなるとか、疲れて頭が働かなくなるなど、本番で起こりそうな⾝体に起こる変化もなるべく事前に体験しておくように努めました。また、この頃から、択⼀試験の対策にも本格的に取り組むようにしました。早めに時間を測って問題を解き、⾃分の現状を把握しました。そして、⾜りていない部分を中⼼に、択⼀過去問を少なくとも1⽇に20問は解くようにしました。

4.司法試験について
 私の場合、3⽉末頃に、試験直前と試験期間中の数⽇間、休暇を取りたい旨、会社に伝えました。会社から休暇をもらった⼿前、1回で合格しなければならないと⾔う思いが強く、直前期は試験をやりきることへの不安とが⼊り混じった⼼理状態となっていました。その思いが空回りして、試験期間中はかなり⼒んでしまいました。ほとんど寝られず、体調が優れない中での受験となりました。途中、⼿ごたえが全く無い科⽬もあり、もう無理だとあきらめて途中で帰ろうかとも思った⽇もありました。
 しかし、先⽣、友⼈、家族から、たとえ⼿ごたえの無い科⽬があったとしても、その科⽬だけで合否が決まるものではないと励まされ、何とか受験しきることができました。
 また、筑波⼤学法科⼤学院の出⾝者は、昼間に仕事をしている関係でどうしても夜型中⼼の勉強となってしまいます。当⽇の試験時間に冷静に⼒を発揮できるように、試験前は朝型の⽣活に戻すなどして、体調⾯や精神⾯を整えておく必要があることも痛感しました。

5.最後に
 仕事や家庭との両⽴は、なかなか簡単にできることではないと思います。少しでも勉強に充てる時間を捻出するために、犠牲にしないといけない部分も出てきます。
 しかし、筑波⼤学法科⼤学院は、そのような点を考慮しても、司法試験合格という成果を⽬指すならば、貴重な選択肢の⼀つとなるかと思います。先⽣⽅は、時間の限られている社会⼈でも理解することができるよう、講義時間の中で必要な情報を伝えられようと、最⼤限の⼯夫・準備されておられることを実感できる授業をしてくださいます。
 また、質問等に対して、どの先⽣⽅からも丁寧かつ親⾝にお答えをいただけます。さらに、実務家の先⽣⽅がご指導に当たられるチューターゼミなどの課外カリキュラムも充実しています。上⼿く活⽤できれば、授業と並⾏してアウトプットの実⼒を付けることができます。私は時間的制約から、授業と並⾏してゼミに参加することを⼗分にはできませんでしたが、試験直前には、個別型ゼミをアレンジいただき、⼿薄になっていた科⽬を集中的にご指導いただきました。
 そして、司法試験を⽬指そうとする明確な⽬的意識を有した社会⼈が多く集まってきております。私は、演習科⽬を受け始めた段階で、⾃分の実⼒不⾜を痛感しており、修了後に合格できる実感をもてずにおりました。しかし、起案に誘ってもらい、⾃主ゼミを開いてディスカッションしたり、勉強⽅法を真似させてもらったりする中で、改善を図りながら勉強を継続できました。試験直前には弱気な気持ちもありましたが、同期⽣から「今年⼀緒に修習へ⾏こう」と声をかけてもらったことで前向きになれました。同じ⽬標に向かって取り組んだことで、合格を得ることができました。
 社会⼈になっても勉強したいとの思いをもたれる⽅にとって必要な環境が揃っています。司法試験を検討される社会⼈の皆様、ぜひ筑波⼤学法科⼤学院へ⼊学されることをお勧めいたします。