令和3年9月司法試験合格 K.F.さん

2019年4月 筑波大学法科大学院既修コース入学
2021年3月 筑波大学法科大学院既修コース修了
2021年9月 司法試験合格

1.入学までの経緯
 入学前は、他の大学院の法学研究科(夜間)で生活保護法の研究をしていました。研究者への転身を視野に入れていましたが、勉強を続けていくにつれ、生活困窮などの貧困問題は、研究者としてではなく、弁護士として訴訟、申立て等の実務に携わりながら解決を目指すべきであると考えるようになり、法科大学院に入学することを決めました。
 法科大学院への入学を決意したのが、2018年7月でした。勉強期間はそこから3年間と決めていたので、既修コースを修了して、司法試験に1回で合格することを目標にしました。

2.学校生活
 既修コースは、憲法、民法、刑法、民訴法、刑訴法の基礎部分について、すでに理解しているものとして、授業がスタートします。私は法学部卒ですが、刑法、民訴法、刑訴法を大学時代に履修したことがなく、独学で学んでいたため、最初は授業の内容がわからず、大変苦労しました。
 しかし、授業の内容を復習し、わからない点について、先生方に質問を繰り返していくうちに、少しずつ理解が進んでいきました。
 授業は、有職者である学生に配慮されており、無駄な予習はありません。レジュメも理解しやすいものが多く、基本書を読む必要もほとんどありませんでした。
 私は司法試験予備校に通ったことがなく、予備校の授業と筑波の授業を比較することができないのですが、予備校に通った経験のある同期は、筑波の授業の方がわかりやすく、レベルが高いと言っていました。
 定期試験の直前には、先生方が授業で扱った内容と、公表されている定期試験の過去問から、出題されそうな論点を考え、それを論証パターンの形にしてまとめ、暗記しました。これにより、定期試験ではそれなりの点数が取れ、再試験になることはありませんでした。
 私は、1年次から、チューターゼミをフル活用して、様々な科目の勉強の仕方、勉強のコツについて、チューターの先生方からご指導をいただきました。特に、商法、民訴法のチューターゼミは熱心に参加して、ご指導をいただき、とても力が付いたと思います。実際に司法試験で点数がよかったのも、この2科目です。

3.司法試験の勉強について
 論文試験は、試験科目ごとに論証パターンをまとめた自作のまとめノートを作成し、暗記しました。典型的な論点を一般的な受験生と同じように書ければ、司法試験は合格できると考えていたので、いろいろなことに手を出さず、各科目、まとめノートと予備校の問題集1冊のみを使用しました。
 百選は授業、ゼミ以外ではほとんど読んだことがありません。条文の素読についても、論証パターンの暗記よりは必要性が低いと考えていたので、やっておりません。
 司法試験の受験者が多かった時期は、論証パターン(趣旨規範)の暗記ができていることを前提にして、事実の引用とあてはめの巧拙で合否が決まっていたと思います。
 しかし、近年は司法試験受験者の減少とレベルの低下により、書くべき論点がわかり、それについての論証パターンが書ければ、事実の引用とあてはめが下手でも合格ラインまで到達することができます。そうすると、論証パターンを暗記する重要性は高いと言えます。暗記は単調で辛い作業ですが、司法試験合格のためには避けて通れないものだと思います。

4.最後に
 入学前、修士課程の指導教員から、司法試験に合格するためには、充実したカリキュラムのある学校で、優秀な同期と切磋琢磨していくことが必要であるから、夜間の法科大学院であれば、その環境が整っている筑波に入学するようにと言われました。
 司法試験に合格した今、私は修士課程の指導教員に言われたことが正しかったと実感しています。私は筑波に入学しなければ、司法試験に合格することができませんでした。
 私を受け入れ、熱心に指導してくださった先生方、共に勉学に励んだ同期の皆様には本当に感謝しております。