令和3年1月司法試験合格  R.T.さん

1983年3月 上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業
1993年3月 筑波大学大学院教育研究科カウンセリング専攻修士課程修了
2020年4月 筑波大学法科大学院既修コース入学
2021年1月 司法試験合格

1 経歴
 大学卒業後、航空会社勤務から心理関係の仕事に移り、どちらにしても畑違いの分野から40歳を過ぎて法律の勉強を始めました。当時携わっていた心理相談業務の中で、法的解決の必要性を感じたことがきっかけです。本学に入学する前に他の法科大学院を修了しており、そこでの受験資格が残っていたため、在学1年目に司法試験を受験し合格しました。

2 筑波での学習
 本年度は、緊急事態宣言下で授業が始まりましたが、本学では、もともと出張等で授業に出席できない場合に備えてオンライン参加の体制が整えられており、1日も遅らすことなくスムーズに全ての講義が開講されました。
 必修法律科目は、時間のない社会人が受験に必要なことを効率よく頭に入れられるようよく練られたものでした。配布されるレジュメは、判例のポイントや論点を要領よくまとめられており、百選を読み込む手間を省けるレベルのものでした。また、問題演習の際には、受験本番で記憶喚起ができずとも六法を頼りに一定レベルの合格答案を作成できるような思考の巡らせ方をご指導いただきました。
 個人的には、入学してから司法試験が実施されるまで(感染症拡大のため8月に延期)の期間は受験直前期にあたりましたが、既修1年の授業自体が受験対策に有益と確信しましたので、他のことに手を出さずに集中して取り組みました。
 また、先生方が、授業外にも、こちらが勝手に選んだ問題の答案添削を引き受けてくださったので、自信がない箇所を書いてはご指導いただきました。特に、前年度は旧民法で受験をしていたため新民法への切り替えが不安で、新しい条文へのあてはめの仕方等、詳細かつ具体的に書き方を教えていただき、自分の型を作りあげて用意することができました。
 直前4か月のこれらの勉強は、合格への大きな原動力となりました。9月からは、主に修了生実務家のチューターの先生によるゼミが沢山用意され、友人とグループを作り、過去問や演習書の答案作成のご指導を受けました。社会人ならではの鋭い事案分析を書き込んだ友人達の答案を読ませていただくことは非常に刺激になり、また、先輩でもあるチューターの先生のお話を気兼ねなくあれこれ伺えることは、生活全般に役立ちました。

3 筑波の環境
 以前は、昼間のロースクールにおり、若い学生達がどれほど多くの時間を勉強に費やしているかを目の当たりにしておりましたので、仕事や家庭と、自分の自由にできる時間さえ限られる厳しい状況にある社会人がどのようにして合格しているのか疑問でした。ですが、その疑問は、司法試験を研究しつくされた先生方の非常に的を射た熱心なご指導と、地頭も要領も良いうえに大変な努力家の友人達に囲まれた生活の中で、納得に変わりました。
 加えて、日々の勉強を支えてくださる事務課の方々の対応がとても親切でスピーディーであることは、昔から変わらない本学の良さだな、と感じました。
 よく法科大学院と予備試験は対立関係にあるように捉えられることがありますが、本学では驚くことに予備試験受験を推奨しており、昨夏、予備短答試験とレポート提出期限が重なった際には、提出期限を変更してくださったほどです。私のように他の法科大学院の受験資格を利用した者にさえ寛容で、合格後も温かく面倒をみてくださっています。司法試験合格を目指すあらゆる立場の受験生にとって、大変勉強しやすい環境なのではないかと思います。
 できればあと一年在学してきちんと修了したかったのですが、修習に進み、実務を経験した後にまたこの校舎に戻ってくることができればと考えています。この素晴らしい環境の中で、一人でも多くの方が合格を手にされることをお祈り申し上げております。