令和元年司法試験合格 武士 清哉さん

2015年 筑波大学法科大学院入学(未修)
2018年 筑波大学法科大学院修了
2019年 司法試験合格

1 入学までの経緯
 私は、社会人になる前に司法試験を受験しましたが合格することができず、司法試験を一時、諦めました。その後、仕事で弁護士の先生と付き合いが生じたことで、もう1度、勉強をやり直して、それを仕事に還元したいと思うようになりました。そこで、仕事をしながらでも専門的な学修ができる筑波大学法科大学院に入学することにしました。

2 入学から修了まで
法律の学修についてブランクがあったこともあり、未修として入学しました。
1年次は、働きながら授業を受け、期末テストを受けることの両立が困難で、体重が10キロ減ってしまいました。しかし、小まめにテストがあることで強制的に反復学修が繰り返され、とくに民法については苦手意識をなくすことが出来ました。また、仕事の都合で授業に出席できなかったときには、授業録画システムを閲覧し、キャッチアップすることができました。図書館は23時まで、自習室は24時間使用可能であったために、授業が終わった後も、大学院で勉強をしていました。
2年次は、人事異動があり、環境が変化したことは大変でした。授業とテストとの両立は慣れてきました。
3年次では、総合演習科目が始まり、起案する機会が圧倒的に増えました。この段階で、起案の仕方が分からないと学修効果がもったいないので、なんとか2年次までに起案の基礎を習得しておく必要があると思います。また、過去問ゼミを自主的に開催し、過去問の検討をはじめました。授業自体は12月で終わるので、3月までは、自主ゼミをやりつつ、予備校の答練に通いました。

3 修了後
 修了後は、4月頭にあった模試で、短答の成績が合格最低点-15点くらいだったので、短答の勉強しかしませんでした。結果として短答は通過できましたが、不合格となりました。
 9月の結果が出る前は、起案の感覚が鈍らないように、答練に通いました。10月以降は、答練に通いつつ、同期の合格者が開いてくれたゼミに参加しました。

4 学修について
⑴ 勉強方法
勉強の仕方は人それぞれだと思います。一人で黙々とやるのが向いている人、ゼミで議論しながらやるのが向いている人、書くことは最低限で、文字を読み込む人、書きまくる人など、自分でどのタイプなのかを見つけ、その方法での試験対策をすることが大事だと思います。
⑵ ゼミについて
 筑波ローでは、申請をすれば教室を利用させてもらえるので、自主ゼミを自由に開催することができます。試験について、一番分析しているのは当事者である受験生だと思っているので、同期とゼミを組むことが多かったです。
修了後は学修生として登録することで、在学生に準じて施設を利用することができました。修了後の10月からは、合格者がゼミを開催してくれました。内容は、直近の過去問を起案し、ゼミ長に事前に提出して、ゼミ当日に講評してもらう、1年分終わったら、過去問ではない問題を使用し、同様のスタンスで行う、毎回論文の検討に加えて、ゼミ長がチョイスした短答過去問を模試形式で解くというものでした。モチベーションも維持され、特に短答については、苦手であり、どうしても勉強が後手に回ってしまっていたので、強制の契機となり助かりました。
⑶ 予備校の答練について
 予備校の答練で意識したのは、時間配分でした。緊張した状態で残り10分で書ききらないという場合どうするかという練習はなかなかできないので、その練習ができたのはよかったです。もっとも、基本的に答練は消化不良になりがちです。また、答練の採点については、採点者の実力が様々なので、まったく気にする必要はないと思います。そして、自分で答案の評価ができないうちは、過去問を答練のように解いて、何が書けなかったのかということを確認する方がよいと今は思っています。

5 最後に
この試験は問題との相性とか、そのときの調子だとか、些細なことで順位が大幅に入れ替わる試験です。1000番~2000番の人などについては、もう一度受験したら合否まで入れ替わるような試験です。
私は絶対に合格できるというところまで到達することはできませんでしたが、結果として合格することができました。誤解を恐れずに言えば、私でも合格できた試験なので、筑波ローに入るような人は皆、合格することができる試験だと思っています。
 ただ、司法試験をやってきたことで、とても多くの人、物を失いました。司法試験を続けるということが人生に与える影響は多大です。失権し、司法試験を目指すことを辞めた人、失権せずとも、違う道に進むことにした人、様々な事情から勉強をすることが困難になってしまった人など、私の周りにも、司法試験の「犠牲」になった人たちがいます。もしかしたら、合格したとしても、犠牲者なのかもしれません。
失権した当時の自分からすると、今の自分は想像ができませんでした。
筑波ローはそんな私を合格に導いてくれました。是非、この感動を味わって欲しいと思っています。もし、筑波ローに入学し、司法試験を受けるという人がいましたら、受験生目線を忘れずにできる限り応援したいと思っています。頑張ってください。