- 2007年 順天堂大学医学部卒業
- 2014年 順天堂大学大学院卒業(医学博士取得)
- 2015年 筑波大学法科大学院(未修)入学
- 2018年 筑波大学法科大学院修了
- 2018年 司法試験合格
1.入学までの経緯
私が本学への入学を考えたのは、医学部の大学院を卒業し学位を取得した際に、職場で、学位を使って他の学部などに編入できないのかという雑談を同僚としたことが最初のきっかけでした。もともと、法律に興味があり、大学入試の際も法学部進学を考えたこともあったのですが、国語が不得意であったこと、もともと理系頭であったこと、周囲の猛反対などからあきらめ、医学部を目指したこともあって、自分の中で法律を学びたいという欲求がどんどん増していきました。
また、医療紛争は、医師にとって身体的・精神的・肉体的に過大な負担を科すもので、いつ自分に降りかかるやも知れず、自分の防御力を増し、また、あわよくば同僚の医師を救いたいという気持ちも湧いてきました。そのため、仕事をしながらでも通学可能な、筑波大学法科大学院への入学を決めました。
2.勉強方法
私は、医学部卒業後、医師として働いていますので、法律に関しては全くの素人でした。入学前ガイダンスに行くまで、六法全書を持ち歩かなければならないと思っていた位です。そのため、大学から入学前に通読を勧められた基本書を読み始めても、どうも頭に入らず理解も乏しかったため、1年生のときは、完全に復習メインでした。その日の授業で習ったことを次週の授業までには理解するようにしました。
授業レジュメは、当然先生ごとにスタイルが異なり、追記できるスペースにも限界があるため、理解するために必要な範囲でのみ、基本書や判例本、予備校本を参照しながら自作のノートを作るようにしました。また、1年生の最初の小テストの際に、法的三段論法で解答するよう言われたのですが、どのように書いてよいのか全くわからず、解答付きの問題集の模範解答から答案の書き方をパクるという方法を身につけました。その方法は司法試験前まで続き、授業の起案や予備校の模試、司法試験過去問の合格答案などから規範や論点ごとの言い回し、表現方法など使えそうなものを徹底的にパクリ、自分のノートに記載していきました。2年生になり、会社法や行政法が終わり全科目一周するまでには、自作ノートを全科目作成し終わっていたので、そこからは、そのノートをブラッシュアップしていき、試験ごとに暗記するという作業を繰り返し、司法試験を迎えました。
勉強時間ですが、法科大学院入学にあたり、職場を変え、曜日によっては日中もゆったりしていたので、仕事の空き時間で勉強するのがメインでした。試験前などを除き、土曜日の授業後や日曜日は、家族や友人との時間を大事にし、試験後は旅行するなどしていたので、勉強漬けの3年間だったとは思いません。ただ、負けず嫌いな性格のため、定期試験もすべて1位を取るつもりで試験前は勉強し、首席で卒業することができました。予備校は一切行っておらず、予備校の模試も司法試験の少し前に1回だけ受験しただけです。司法試験前は、自作のノートを徹底的に頭に入れると同時に、短答をひたすらやりました。
3.司法試験を振り返って
憲法で度肝を抜かれ、司法試験の答案というよりは、読書感想文を書いてしまったと焦りはしましたが、その後は、淡々と答案を作成できたかなと思います。ただ、試験会場の雰囲気や、試験時間の長さから、2度と受けたくないなと思いました。これから受験される方は、1回で終わらせるという強い意思をもって取り組んでいただければと思います。
また、試験会場によっては椅子が硬いなど、試験環境に難がありますので、自分なりにクッションを持参するなどの対策をお勧めします。
4.最後に
法学部出身でもなんでもない理系の私が、学校の授業をメインとした勉強だけで現役合格できました。予備校や演習本などいろいろなことに手を出す前に、一科目一科目、各論点出題されたらこう書くという、自分なりの規範や書き方を確認していくことが良いと思います。また、自分で言うのもあれですが、事実を評価して自分なりの文章を記載することが人より得意だったのが、合格につながったのかなと思います。
近年の司法試験は、マニアックな論点を出題というよりは典型的な論点を出題し、誘導に沿って自分なりの文書を作成できるかが問われていると思います。典型的な論点を暗記することは当然ですが、日々の答案作成において自分の規範とあてはめがリンクしているか、問題文の丸写しと結論だけになっていないかをチェックし、正していくようにされたら良いと思います。また、用意していなかった論点が出た場合も焦らず、趣旨に立ち返り、ときに規範をでっち上げてでも、答案を書き切ることが大事かと思います。
皆様の合格をお祈りしております。がんばってください。