本専攻修了生による平成27年度司法試験合格者座談会

平成27年12月6日 東京キャンパスで実施

出席者
数井  数井晶 5期(長期履修)・平成24年度修了
高田  高田芳徳 8期・平成26年度修了
聞き手
森田  森田憲右 教授
奥山  奥山光幸 助教

森田 本日は本年度合格者2名にお集まりいただいております。
まず、最初に法曹を目指そうと考えられた動機をお聞かせ下さい。
数井 私は医師をしておりまして、特に弁護士になりたいとか法曹になりたいという強い希望があったわけではないのですが、筑波大の法科大学院がニュースになったことがあって、社会人大学院というのがあることを知りました。
家庭でも子供が大きくなって比較的余裕が出来たこともあり、法科大学院を目指すことにしました。
高田 私は法学部卒ですが、当時は、司法試験というと、合格まで何年もかかるという印象があり、早く社会に出て働きたいと考えていたことから、特に司法試験に向けた勉強をしていたわけではありません。
しかし、周囲に司法試験を受験する友人も沢山おり、機会があれば目指してみたいという思い自体はありました。

筑波大が、社会人が仕事と両立しながら目指せるプログラムを提供していることも知っており、仕事が落ち着いてきたところで、キャリアを継続しつつ司法試験合格を目指せるのではないかと思い、勉強を開始することとしました。

また、私は金融関係の仕事をしており、仕事に関連する限りで、法律の勉強もしてきましたが、大学院で学ぶことで、体系的な知識を身につけられるのではないかなと思ったことも、筑波大学の法科大学院に入学した理由です。

森田 入学時点で法律の勉強はどの程度されておられましたか。
数井 私は純粋未修なので、きちんと勉学として法律の勉強はしていませんでした。
法科大学院に行くということで、入門書みたいな本屋で売っているような初心者向けの本をぱらぱら読む程度で、体系だった勉強というのは全くしていませんでした。
高田 一応学部で一通りのものは学んでいました。
具体的には、学部時代に、憲法、民法、刑法、商法、行政法辺りは一通り学んだことがあります。
あとは仕事の都合から、 2006年に現在の会社法が施行されたときに、かなり体系的に勉強したことがあります。
ただし、訴訟法関係については、一切勉強したことはありませんでした。

森田 数井さんは入学当初は大変ご苦労されたと思いますが、特にどういった点に苦労されましたか。
数井 苦労してないと言った方がいいかも知れませんが(笑)、本当に授業についていけなくて困ったということはあまり無くて、というのは、授業が未修者向けのための授業作りをしてもらっていて、レジュメなんかもきちんともらっていたので、その点でそれほど苦労したということはなかったです。

強いて言えば、教科書などを読んだときに解説が条文に由来するのか、条文そのものを説明しているのか、あるいは条文からの解釈なのかというところが混乱していたことと、 教科書の条文をどの程度ひいたらいいのかということがわからなかったことでしょうか。
条文をひいたりしていると勉強時間が少なくなるのではないかと。

森田 数井さんは長期履修でしたが、その理由はお仕事の関係ですか?
数井 はい、そうです。土曜日が行けない日があったので調整する必要がありました。
森田 長期履修ですと、履修科目が年間およそ4分の3位になるわけですけども、入学当初の勉強の速度はどうでしたか。
数井 その辺比較しようがないのでわからないのですが、多少は楽だったのかも知れません。

森田 お二人は授業以外でどのように勉強されていましたか。
数井 1年のときはチューターゼミを利用していました。
1年生のときは比較的初心者向けのような話の内容だったので。
高田 基本的には、自分で勉強する時間を確保したいと思っており、一人で勉強するスタイルでした。
ただ、定期試験の前などにクラスメイトと勉強会を開催したことなどもあり、適時議論しながら勉強していた部分もあります。
森田 自主的なゼミは役立ちましたか。
高田 やはり、人の話を聞くことにより、自分の理解が間違っているところだとか、人が間違いに陥りやすいところだとかがわかったりするので、自分の理解を深めるという面でも試験対策という面でもかなり効果はあると思います。
また、本を読むよりも効率的に知識を吸収できる部分もあると思います。

ただ、社会人の場合は、特に時間の制約が強いので、限られた時間をどのように使うのかという観点で、バランス感覚が必要だと思います。

数井 私は特にやりませんでした。
というのは、誘われなかったということもありますけども、割と自分のペースでやりたいと思っていましたので。
確かに他大学の合格者の体験談とか読むと、自分の答案を批判してもらうというのは大変良いみたいなので、やっておけばもう少し早く合格出来たかなとは思いますが。

森田 高田さんはある程度法律を勉強されて来られたということですが、1年目の学習ではどういった点を重視されましたか。
(注:当時は全員3年コース)
高田 私が法律を学んだのは10年くらい前のことなので、そういう意味からも、ゼロからに近い勉強が必要だと思い、真剣に授業に向き合おうと思いました。

具体的には、基本書と判例と条文を3点セットとして、常に参照していました。
学期に入る前の長期休暇などを利用して、なるべく授業が始まる前までにその授業の範囲の基本書を一読しておくようにしておいて、授業が開始したあとは授業の進行に合わせて基本書、条文、判例を読み直すようにしていました。
未修の1年目で大学4年間の法律の勉強をすべて終わらせるつもりで勉強していました。

森田 基本書を読むというお話がありましたが、学生によっては基本書を読まないで、たとえば予備校のテキストとかを使って学習するということも聞かれるわけですけれども、
基本書を読むことについての意義はいかがでしょうか。
高田 やはり体系的な理解が出来るということでは基本書に優位性があるのではないかと思います。

また、基本書自体が、答えが全部きれいに書いてあるというよりは、考えさせるような記載ぶりになっていることから、考えながら読むことで法律的なものの考え方とかは知らず知らずのうちに学べるのではないかと思います。
司法試験では、必ず未知の問題が出ますが、未知の問題に自分なりに考えて答えを出す訓練として有効なのではないかなと思います。
時間があるなら私は基本書を読むことをお勧めします。

数井 私は教科書はよく読んでいました。
授業を中心に勉強していましたので、せっかく行くので予習復習はしっかりやろうということで、指定された教科書をよく読んでから授業に臨んでいました。

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奥山 私から伺いますが、実際に答案を書くという練習をし出したのはいつ頃からですか。
高田 私は、実は、司法試験に特化した答案を書く練習というのは、司法試験直前まではできませんでした。

ただ、1, 2年次等から、授業の課題や期末試験等で論述式の答案は書いていたので、それを元に検証し修正していくというようなやり方をしていました。
試験でそれなりの成績を取れていたので、授業の延長で対応できるのではないかと思っていました。
特に3年次の授業では、事案を前提として論述式の起案を求められるものが多く、それはほぼそのまま司法試験に直結すると思うので、それが練習といえば練習になったのではないかと思います。

数井 私は全くその書き方の練習はしていませんでした。

元々司法試験に受かろうと思って入学したわけではなかったので、論文対策みたいなものは授業で3年生以降の総合演習科目の時に初めてやりました。
ただ、書くのは割と早い方かなと思うので、とりわけ書く練習をしなくて困ったってことはないです。

ただ、今思えば書き方に関しては在学中はむちゃくちゃで、たとえば形式的なもので「第1」「第2」とかその段落分けとかそういったのも割とむちゃくちゃだったので、そういう形式は早めにやっておいた方が良かったかなとは思います。

奥山 最終的に書き方はどのように修正されていったのですか。
数井 予備校に行ったりして、答案を見たりすることによって学んだし、あとは授業の演習科目のときに教員に書き方を少し教えてもらったので、それも私は役に立ったかなと思います。
森田 2年次の勉強方法ですが、2年次になると演習科目が多くなってきて、予習が大変になるといった意見がありますけれども、授業の予習復習を含めて1年次と勉強方法などが異なる面はありましたか。
数井 基本的にはその授業の予習復習、示された課題とかレジュメ、あるいは教科書を読むという方法は変わらなかったのですが、確かに応用的な問題が題材になったりしたので予習が大変というか、1年目であれば一通り読めばある程度内容が理解出来たのですが、何回読んでもわからずに日曜日なんかにも、普段は平日勉強すれば大丈夫だったのが、日曜の遅くまで勉強していたということがありました。

勉強方法そのものは変わらないですけども、かける時間が長くはなりました。

高田 2年次の授業はいわゆる問題演習が多くなるのが特色だと思います。

その中で、各学生に、事前に予習用の問題が割り振られるケースが多かったように思いますが、自分に割り振られたものについては必ずきちんとした解答を準備して授業に臨むことはもちろん、他の人に割り振られたものについても一応のメモ書き程度でも用意し、あらゆることに対して、自分が突然指名されてもそれなりに対応できるような準備をしていました。

このように、授業の題材に対して、自分なりに色々考えたり調べたりして、答えを用意する予習が、この時期の勉強のメインになりました。

また、1年次は基本書中心に勉強していたのですが、2年次は判例をきちんと読もうと思って、全科目ではないのですが、授業の進行状況に合わせて判例百選を読むようにし、10週間(注:2単位科目は10週間授業)くらいでその教科の判例百選を全て読むようにしていました。

勉強量は一年次と変わらないか、仕事が少し忙しくなったのでかえって少し少なくなったくらいかなと思います。

森田 3年次になると、起案など総合演習科目が多くなりますけども、3年次にはどのような勉強をされていましたか。
数井さんの場合には長期履修ですので、最後は4年次ということになるでしょうか。
数井 基本的には予習復習というスタイルは変わりません。

起案に関しては事前に問題を提示されて解いてくる科目と、授業中に解く科目と二通りあったのですが、前者の事前に解いてくるものに関しては当然きちんと書いて出席をしたのですが、書くときも何も見ないで書くということは私の能力では無理だとわかっていたので、教科書を読みながら参考にしながら自分なりの解答をつくって、授業に臨みました。

授業中に起案を行う科目の場合は、範囲が一定程度決まっていますので、その範囲についての知識の習得の予習をしたうえで、 授業中の起案に臨みましたし、復習も欠かさずにやっておりました。

高田 基本的には数井さんと同じです。

事前に課題が与えられるものについては、一通り自分で書いてから授業に参加するようにし、授業中に起案するものに関しては、その範囲のものは何が出ても大丈夫なように事前に準備して授業に参加しました。
この時期に書く練習ができたと思っています。

また、3年次の授業の時は、授業と平行してその科目の全範囲を総復習しました。
刑事訴訟法や行政法については、この3年生の総合演習科目が終わった段階で、司法試験の準備がほぼ出来ているような状態までもっていけたのではないかと思います。


森田 お二人の1日の生活サイクルはどのようなもので、勉強時間はどの程度確保できましたか。
また限られた時間内で勉強方法はどのように工夫をされてこられましたか。
数井 1日にどれくらい勉強できたかは日によっても違うのですが、基本的に私は医者ですが実はそんなに忙しくなく、会社勤めと違って拘束はきつくありませんでした。昼間合間合間に予習復習なりの勉強をしていました。

授業があるときは授業の後30分くらい残ってその日の復習を、授業中に先生のしゃべったことを全てノートにとるようにしていたので、そのノートを読み返して、授業の雰囲気を思い出して知識を身につけるようにしていました。
夜はその程度でしたね。日曜日は空いている時は1日勉強していました。

ただ、個人的なんですが、夜寝るのが早いのと、夜大体お酒を飲むので、夜の勉強量はそんなに多くなく、トータルにすると朝から晩までそんなに勉強していたということではありません。
同期の中で忙しい人もいましたけど、そういう人と比べてもそんなに勉強時間は変わらなかったんじゃないかなと。

工夫に関しては、これといってお勧め出来るような工夫をした記憶はありません。

高田 私は、通常の企業勤めの人間なので、毎日の生活の中で、何とか勉強時間をひねり出せるよう、頑張っていました。
具体的には、朝は始業の1時間くらい前に会社に行くようにして、メールチェック等を行いその日の行動計画を立てた後、もしその日にどうしてもやらなければならない仕事があれば別ですが、そうでなければ、会議室等で始業までの時間を勉強に充てるようにし、 昼休みも、昼食を1人で早く済ませた後1時間弱勉強して、更に授業の前に少しでも時間が取れれば勉強するというような感じでした。
これで2時間少しは時間時間が取れることになります。
その後、大学で授業を受け、授業が夜9時に終わった後、家に帰って夕食を採って、1時間か2時間勉強するという形でした。

平日は授業以外で必ず3時間は勉強するよう心がけていました。
土日については、土曜の日中はほぼ授業時間でつぶれていましたが、土曜の夜だけは家族サービスの時間にし、勉強はしませんでした。
日曜は、午前中は大学に来て勉強をして、午後は家族サービスの時もありましたが、その場合でも夕方以降はまた勉強をしていました。

1週間などの少し長めのスパンで計画を立てて、やるべきことを洗い出し、提出すべき課題等があれば日曜の朝などに早めに終わらせるようにして、平日はその日の授業に関連する予習などに充てていました。

森田 寸暇を惜しんでやられていた感じですね。
高田 そうですね。
試験直前のころはエレベータや電車を待っている時間にも”肢別本”を取り出して1つか2つ肢をチェックするというようなことをやっていました。
森田 時間を出来るだけ確保して、そして課題なんかに追われずに少し余裕を持って 自分なりの勉強方法、方針というものを自由にたてて勉強していくという、こんなイメージでしょうか。
高田 そのとおりだと思います。仕事と勉強を両立させるためには、計画性が大事です。

また、社会人学生の場合、計画性の中には、仕事も含まれます。
仕事を時間までにきちんと終わらせることが大前提で、定時までに必ず終わらせておくべきところまでを終わらせてから帰るということを徹底していました。
それでも、会社を早く出ることに心苦しさを感じることはありましたが。

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奥山 仕事の関係で突発的に計画が崩れてしまうようなことはなかったですか。
高田 時々ありました。
当日中にリカバリーしなければならず、結構夜遅くまで勉強していたこともあります。
あるいは、仕事には波がありますので、突発事情があったときは、その後仕事が落ち着いたときに有休をとって埋め合わせをするなどしたこともあります。
当日や1週間のうちにリカバリーするのが理想ですが、できなくても、1ヶ月くらいのスパンで帳尻を合わせていれば問題ないと思っていました。
森田 次に受験勉強について、どのような点を重視されましたか。また合格に直結した点がありましたら教えてください。
数井 自分は未修だったのでまず知識がないといけないと思って、常に知識を忘れないように何度も復習をするようにしていました。
3回受けて司法試験について思うのは、決して難しい試験ではなくて、基本的なことさえわかっていれば通る試験であるということで、基本知識をおさえて、書き方に関してはそんなに気にしませんでした。
直結した点ということで言えば、基本的な事項をきちんと身につけることだと思います。
高田 重視したのは、まず知識の穴を作らないということです。

司法試験は、範囲が非常に膨大だし、試験というものは、理解があやふやなところがあると必ずそういうところが問われるのだと思います。
自分が解けなかったところは、もしかしたらそれほど重要ではないかも知れないけれども、理解があやふやなところが出ると、それだけで試験中の精神状態に悪影響があるものだと思います。
そこで、とにかく皆がわかっていることはきちんと理解しようと思い、全分野をつぶすよう心がけていました。

また、短答式試験に関しては、過去問を何度もくり返すこと、論文式試験に関しては、法律実務家が書くような文章を答案で書けるようすることを、日頃の授業や期末試験の答案作成の段階から意識していました。

合格に直結した点という意味では、論文式試験の方が配点が高いわけですが、
今言ったように法曹実務家の書くような文章を日ごろから心がけてきたこと、具体的には、事実をきちんと拾いあげて適切に評価をし、法律に当てはめるという三段論法を徹底して実践しすることを、 大学院での勉強の段階から心がけ、本番でも実践できたことに尽きるのかなと思っています。

森田 医師国家試験と司法試験と比べてみると、勉強方法について共通している点とか違う点とか、その辺りはいかがでしょうか。
数井 問題そのものが違います。
医者の国家試験の場合マークシートだけですので、過去問さえやっていれば大体受かるので、難易度、受かりやすさという点で言うと司法試験の方が断然難しいと思います。
論文も医師国家試験はありませんしね。
択一、つまりマークシートの問題自体も司法試験の方が難しいですね。

医師国の場合は1、2回やれば、大体8割9割は解けるんですけど、司法試験の場合は何度やっても難しい。

森田 先程高田さんは、答案の書き方とかは特に勉強はしなかったと仰ってましたが、それは日頃から意識をされながら勉強していたということですね。
高田 そうですね。特別な勉強をしなかったというだけで、日頃の授業の中で特に実務家の先生がヒントを出してくれるので、それをきちんと自分なりに咀嚼をして、授業の定期テストなどの場で表現するようにしました。

それに成績がついてきていたので、自分の方向性としては間違っていないのだなと思い、特に他のことはやっていないというのが、正直なところです。

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奥山 勉強の計画について伺いたいのですが、長期的にいつまでにこれが出来ているとか、これを終わらすとか、そういう計画を立ててそれを実践してこられたのですか。
高田 計画というか、学校の勉強がペースメーカーになっていました。

司法試験の分野に関しては、1年次、2年次、3年次でそれぞれ学修するので、3回まわすことになるので、それに合わせて、その科目を勉強していくというような進め方でした。
具体的には、全部の教科の成績でAがとれるようにというのを1つの目標にしており、ほぼ達成出来ていたので、到達度としては十分かなと思っていました。

森田 受験勉強についてですけども、正規授業が事実上終わってから、司法試験を受験するまで、相当程度期間が空くわけですが、その間に仕事が忙しくなり、勉強時間が取れなくなってしまうということも聞くことがあります。お二人はいかがでしょうか。
数井 私はそういうことはあまりなかったです。
在学最終学年は1月くらいから予備校、答練に行って、それを利用しながら勉強を続けて、卒業後も答練に行きながら勉強そのものは続けていました。
森田 授業が終了した後のスケジュール管理はどうしていましたか。
高田 授業が終了してからは、細かなスケジュールをたてて、1日レベルで管理していました。

司法試験科目は8教科ありますが、その日ある科目をやったらカレンダーのその科目のところに丸をつけるようにしていました、各科目を3日空けないように心がけていました。
また、論文式試験の科目ごとに、解くべき過去問のリストを作ってチェックをしていました。
縦に年度、横に科目を記載した表を作成し、論文式試験の答案を作成したらマス目にチェックを入れるという風にして、管理していました。

最終的スケールで答案を書いたのは、全科目5年分くらいです。
上記の表を用いて、土日には、1日最低2本の答案を書くよう、管理していました。

予備校に通わないのであれば、この時期は自分のスケジュール管理だけが勝負になるので、自分なりにいろいろ工夫していました。

奥山 数井さんに伺います。先程、基本が出来ていれば難しい試験ではないと仰っていましたが、よく”基本がどこだかわからない”という質問を私も受けることがあります。
ここを抑えておけばいいという見極めというか、それはどういうところで判断するのですか。
数井 教科書を読んで、それを理解していくしかないかなと思うんですけど。

私は、予備校の答練中心で、教科書類はほんとに全然手を広げずに基本書くらいしか読んでないですし、ケースブックとかそういったものも使っていません。
それでも充分なんとかなりました。

森田 先程高田さんの話にもあった通り、体系的な理解ということが基本書を読むことによって可能になり、それが自分自身の自信に繋がるということでしょうか。
数井 そうですね。民法などは範囲が広いので何回も何回も復習をして、これならばもう試験問題に出てもある程度解けるんじゃないかなというようなレベルには、今回の司法試験の前に到達しました。
そこに至るまではどんな試験が出るのかなと言う不安がありました。

何度も復習するしかないと思うんですけども、それを繰り返すことによって、 ある程度理解出来たなということで、ある程度の問題が解けるっていう自信にはなりました。


森田 次に、お二人の今後の抱負をお聞かせ下さい。
数井 私は今年の司法修習には行きません。来年行くつもりです。弁護士の免許は取りたいとは思っていますので。

新たなことに挑戦してみたいという気持ちはありますが、今の安定した生活を捨てて弁護士でいくのも大変なようなので、今はちょっとわかりません。

高田 私は、元々金融関係の仕事で経験を積んできましたが、これに、司法試験合格という大きな武器が追加され、今まで以上に自信をもって仕事ができるようになり、業務の幅も広がったのではないかと思います。

私も、業務を突然には抜けられないので、今年は司法修習には行きませんが、会社や家庭と調整の上、もし可能であれば近い将来に司法修習に行き、金融と法律に特化した弁護士として仕事が出来たらいいなという思いはあります。

森田 最後にこれから法曹を目指そうとする方々にアドバイスがあればお願いいたします。
数井 法曹資格を目指す理由は様々だと思うんですが、せっかく目指したのならば合格してもらいたいし、司法試験そのものは今は決して難しい試験ではないので、仕事をしながらでも可能だと思います。

是非頑張ってもらいたいと思います。

高田 自分の経験上、仕事と勉学の両立が非常に大変だったという感想はありますが、不可能というわけではないと思います。

夜間の大学院で法曹を目指される方というのは、働き盛りの年齢であることも多く、いろいろ調整は大変だと思いますが、現実的な一つの選択肢ではあると思うので、頑張っていただければと思います。

森田 本日は有難うございました。
森田感想
毎回合格者の方のお話を伺って思うのですが、特に筑波の法科大学院からの司法試験合格者は、さまざまな勉強方法や受験勉強方法で学修していることに驚かされます。

今回のお二人はかなり授業の予習復習を中心になさってきた方で、その延長上に合格があったという感じです。
教員としてはうれしい限りですが、自分に合った方法を見つけてそれをやり通すこと、またそのためのスケジュール管理がなにより重要であることが分かります。

奥山感想
お二人とも授業を中心にして、その予習復習を通して試験対策をしていくという姿勢を貫かれました。
教員から教えてもらったことで反復し理解を深めていくことで、非常に理想的な経過だったのではないかなと私は思います。