令和7年11月司法試験合格 M.T.さん

2024年 4月 筑波大学法科大学院既修者コース入学
2025年11月 司法試験合格(在学中合格)
2026年 3月 筑波大学法科大学院既修者コース修了

令和7年度司法試験では、筑波大学既修者コース2年生から7名が在学中受験で合格しました。在学中受験制度も3年目となり、既修者コース・在学中受験を使った短期の司法試験合格ルートが確立してきたように思います。法科大学院の人気回復もこれと軌を一にするものと考えます。
すなわち、「①入学前の基礎的な学習→②法科大学院既修者コース→③在学中受験・司法試験合格→④法科大学院修了・法務博士取得」の流れです。司法制度改革が目指したとおり、多様なバックグラウンドを有する社会人が、質の高いロースクール教育を受けた上で、無理なく法曹資格を取得することができるようになってきたと思います。
法科大学院制度の基本は、3年間の未修者コースですが、ここでは、私自身の経験に基づき、既修者コースを紹介します。

1.入学前の基礎的な学習

既修者コースのほぼ全員が予備試験対策を行ってきた人たちです。既修者コースの入試に合格すればいいので、予備試験に合格するレベルである必要はありませんが、入学前に司法試験8科目の基礎的な学習をやっていることが重要です。
特に、入学後は短答式の勉強をする時間がほとんど取れませんので、憲法・民法・刑法の短答過去問はある程度こなしておくことがいいでしょう。

2.法科大学院への集中

入学後は、法科大学院での講義の予習、課題提出、期末試験対策に集中しましょう。その過程で自然と、出題趣旨を的確に読み取り、求められた解答をする司法試験向けの能力がついていきます。
筑波大学の教師陣は、社会人学生の置かれた状況をよく理解してくれており、最も効率的な学習により、司法試験合格レベルまで引き上げてくれます。ロースクール特有の実務基礎科目は、経験豊富な実務家教員が担当し、単調になりがちな法律の学習に厚みを持たせてくれます。また、多様な職業、年齢から構成される仲間との日々の会話は楽しく、同じ目標を目指して切磋琢磨する環境が整っています。
さらに、学生の自主ゼミに貴重なお時間を割いて対応してくれる教師陣、実務家の非常勤講師が過去問の答案練習・添削を行うチューターゼミ、本試験直前期に「近時の判例」の解説などを行ってくれる「エクステンション・プログラム」など、短期間で効率よく合格レベルに引き上げるためのシステムが筑波には出来上がっています。
日々の勉強は大変ですが、迷うことなく、これらに乗っかっていれば、自然と合格に導かれます。

3.在学中受験

社会人受験生は長く司法試験の受験を続けるわけにはいきません。また、司法試験の勉強は、どこまでやっても完璧ということはないと同時に、着実に勉強を進めて一定レベルを超えれば合格とされる資格試験です。山登りの途中で、「はい、そこまでで結構」と合格にされてしまうイメージです。社会人受験生は、ロースクールの授業である程度の知識を得たら、過去問練習で本試験への取り組み方を身に着けて、在学中受験で合格してしまうのがいいと思います。
在学中受験資格を得るための履修プログラムは本当に厳しいです。ただ、授業と期末試験に追われる1年3か月を駆け抜けて、その勢いのまま、司法試験本番に突入してしまうのが社会人には向いているような気がします。既修者コースの人には、基本的に在学中受験をお勧めします。

4.いくつかの疑問

夜間大学院の社会人受験生が司法試験にチャレンジするにあたり、想定されるいくつかの疑問に答えます。

(1)勉強時間をどうやって確保するのか。

昼間の専業受験生と異なり、まとまった勉強時間を確保しにくいのが社会人受験生の悩みです。平日は、いわゆる「すきま時間」(通勤時間、昼休み等)と夜間が勉強時間です。
しかし、社会人受験生は、「この時間で、ここまで読んでしまおう。」「この時間で、この授業だけ聞いてしまおう。」と、知らず知らずのうちに緻密かつ具体的な計画を実行することになります。結果的に、あらかじめ決めた内容を確実にこなすことになりますし、余計なものに手を出す時間もないので、やることを厳選することになります。こうして、専業受験生とも互角に競うことができるのだと思います。

(2)何時間勉強すれば、合格するのか。

一般的に「週30時間の勉強が必要」といった話を聞きますが、私の場合、勉強時間を数えたことはありませんでした。
ロースクールに通う以上は、趣味や遊びはしばらくあきらめて、休日はフルに勉強にあてる必要がありますし、私は夜型だったので、仕事から帰ったら深夜2時くらいまでは勉強していました。このくらいの覚悟は必要だと思いますが、2年間だと思えばできるものです。

(3)どうやってモチベーションを保つのか。

ロースクールの大きなメリットの一つが、同じ目標を持つ仲間ができることです。社会人ロースクールの場合、誰もが様々な制約の中でがんばっています。「彼だって、彼女だって、大変な中でがんばっている」という事実が、自然と「苦しいけど自分もやるしかない」と奮い立たせてくれます。
そうやって励まし合いながら一緒に戦ってきた仲間は、一生の仲間だと思います。本当に筑波大学のロースクールに入学させてもらってよかったと感じます。

5.終わりに

私は、働きながら法学を学び直し、最新の法律知識を得る機会を与えてくれた筑波大学法科大学院、熱意をもって教育にあたってくれた先生方、一緒に戦い抜いてくれた筑波の同級生たちに、心から感謝します。
これをお読みなっているみなさんにも、筑波の法科大学院で、この素晴らしい経験をしていただきたいと思います。

以上