2021年 4月 筑波大学法科大学院未修者コース入学
2024年 3月 筑波大学法科大学院未修者コース修了
2024年11月 司法試験合格
1.入学までの経緯
大学卒業後、団体職員として勤務していましたが、士業やシンクタンク、コンサルタントの方々との業務を通じ、その知見に基づく様々なアイデアを出していただいたりする中で、彼らのような「専門性を活かして、人の役に立つ仕事」への関心や憧れが芽生えました。しかし、人文系学部の出身であり、仕事上の特別なスキルも有していなかったので、専門性を活かした仕事をするためには、まずは何らかの資格をとる必要があると考えました。
そこで色々と検討した結果、仕事上、法令や規程類を参照する機会が多かったため、条文というものへの抵抗感がなかったことから、法律系の資格に挑戦することを決めました。まず行政書士の資格を取得し、その勢いで筑波の門を叩きました。
2.学生生活
(1)学修時間の確保
法科大学院に入学後、学修を優先する生活をすることにつき、家族(妻)と職場の理解を得ることができました。
具体的には、まず家族の理解については、妻の理解と後押しがあり、本学への入学直前に、本学の徒歩圏内に転居しました。これにより、通学時間を削減することができ、21時の授業終了後にも自習をしたりゼミに参加したりする余裕を持つことができました。
次に職場の理解については、私は本学の入試に合格した翌日には、働きながら法科大学院に通学したい旨相談し、業務の分担や、授業優先の行動をとること(授業がある日は定時に退勤する等)について配慮をしてもらうことができました。
このように学修時間を確保しやすい環境に恵まれたため、無理なく学修を継続することができました。
(2)学修の仕方
司法試験に合格するためには、なんといっても論文式試験において、合格レベルの答案を書けるようになることが必要です。私はそのために、法科大学院の授業のほか、自主ゼミ、チューターゼミを活用しました。
授業については、概ね、未修者コース1年次では講義、2年次では短文事例問題を用いた演習、3年次では長文事例問題を用いた演習、というように、徐々に難易度が上がり、段階的に力がつけられるようにカリキュラムが設計されています。特に2年次・3年次の演習では、相当数の事例問題に取り組むことになり、その中で実力が鍛えられたと実感しています。
ゼミについては、まず公式の制度として、チューターゼミが用意されています。チューターゼミは、学年別・科目別に開講され、チューターの先生(弁護士)から指導を受けられるというものです。ゼミの内容・実施方法はチューターの先生により異なりますが、テーマとなる事例問題を決めて、学生が事前に答案を作成し、当日は先生が解説・質疑応答を行うというものが多く、先生によっては提出答案について個別にコメントを付して返却していただけることもありました。
さらに、非公式の自主ゼミにも参加しました。同期の友人たちと組んで、やはり事例問題を決めて答案を作成し、各科目の先生方に指導をお願いしました。先生方は、時には授業終了後の夜遅い時間や、土曜日の朝早い時間からお付き合いくださり、懇切丁寧に指導をしてくださいました。
これらのゼミに参加することにより、答案作成に習熟できる点はもちろんのこと、自分の答案について先生から不備等を指摘してもらえる点、同期の優れた答案を見ることができる点、定期的に参加することで学習のリズムを作れる点、先生や同期と様々な情報共有・情報収集をすることができる点等、様々なメリットがありました。私自身はこれらに大変助けられましたし、ゼミがなければ修了・司法試験合格は難しかったと思います。
(3)くじけないこと
合格レベルの答案を書けるようになるためには、とにかくくじけずに学修を続けていくしかありません。
私は、入学して最初に受けた民法の授業の中間テストでは、10点中4点(そのままであれば落第推定)という成績でしたし、別の授業の中間レポートでは、1通の答案を書くのに6時間もかかりました。その後も、予備試験や司法試験の過去問を解いてみても、制限時間内には全く書き終わらず、論点も分からず、内容も散々というようなことが多々ありました。
このように何度も何度も打ちのめされてきましたが、そういうときには、書籍を参照したり、もう一度同じ問題を解いて先生に提出してみたり、先生にアドバイスをもらったり、同期の友人の答案を参考にしたりして、なんとか食らいつくようにしてきました。まずは履修科目の単位を落とさないように、あわよくば好成績を取れるようにと、くじけずに学修を続けてきた結果、いつの間にか少しずつ実力がついてきたように思います。
また、受験に挑戦する間は、先生方や同期の仲間、先輩・後輩といった学校内の関係者はもちろんのこと、職場関係者や家族・親族への感謝の気持ちを持つことも重要かと思います。仕事や家族に関し、まったく犠牲を払うことなく司法試験合格を目指すのはおそらく不可能であり、大なり小なり、様々な方に甘えながら・応援されながら学修に取り組むことになると思います。その自覚を持つことで、くじけそうになっても、自分を律することができると思います。
3.最後に
本学は、社会人が司法試験合格を目指すにつき、最良の環境を提供していると思います。前記のとおり、授業のほか、チューターゼミや自主ゼミといった機会を通じて学修を深めることができますし、何より、先生方や同期の仲間は、驚くほどの熱意を持っています。同期の仲間は本当にストイックな方々ばかりでしたし、先生方もいつでも学生の希望に応えて指導を引き受けてくださいました。入学を検討されている方も、学修に充てる時間と、くじけない心さえ持っていれば、この環境を活かして、必ず実力を鍛えることができると思います。
最後までお読みくださりありがとうございました。法曹を目指す社会人の皆様が本学の環境を活用の上、司法試験に合格され、法曹としてご活躍されますよう、心よりお祈り申し上げます。