2023年 4⽉ 筑波⼤学法科⼤学院既修者コース⼊学
2024年11⽉ 司法試験合格(在学中合格)
2025年 3月 筑波⼤学法科⼤学院既修者コース修了
※この原稿を執筆したのは2025年1月であり、会社員かつ学生の身分の時点です。
1.入学までの経緯
(1)法学部出身だったものの、大学生時代は司法試験を受験することは全く考えていませんでした。
(2)大学卒業後は新卒として民間企業に就職しました。
最初に務めた会社は5年程度で退職し、見聞を広めるためバックパッカーをして1年ほど世界を巡りました。
(3)帰国してから独立を目指したものの、資金面などで無理があると感じ、自営としてやりたかったことに関連する会社に就職しました。
しかし、実際に従事してみると、自分のやりたかったことと現実にはかなりの乖離がありました。
(4)そこで、2年ほどでまた退職し、1年ほどアルバイトをしながら、独学で旧司法試験を目指しましたが、短答試験不合格で、あえなく撃沈しました。
(5)私にとって、短期間で合格することには無理があると思い、法律関係の仕事ができる会社に就職し、仕事をしながら取り組むことにしました。
しかし、入社して15年くらいは真剣に司法試験に取り組むことはなく、宅建、行政書士など比較的取得しやすい資格を得ることにとどまっていました。
それからコロナ禍が始まる前くらいに転機が訪れ、司法試験の合格を目指すこととしました。
独学では難しいことがわかっていたので、今度は受験予備校の講義を受けながら、まずは予備試験の合格を目指しました。
(6)予備試験では、短答には3回目で合格しました。
しかし、論文試験は不合格が5回続き、順位は少しずつ上がってはいましたが、このまま続けて合格できるか、自信がありませんでした。
悩んだあげく、ロースクールの選択肢もあると考え、筑波大学法科大学院(以下「筑波」といいます。)のことを知り、アポなしで筑波を訪ね、警備員さんに事情を説明したところ、「3階に行けばパンフレットなどがあるかもしれない。」と案内されました。
そして、3階の事務室の方が、とても親切に入学の案内をしてくださったので、受験してみようと思いました。
(7)ただ、その年は既に入学試験受付は終了していたので、翌年既修者コースを受験したところ、運よく合格しました。
私にとって、「筑波=希望」となりました。
2.大学院生活
(1)専門実践教育訓練給付金制度
学費には、トータルで約200万円かかり、資力が十分でない私にとってはかなりの負担になることを覚悟していました。
しかし、入学後、専門実践教育訓練給付金制度の案内を事務室から頂き、初めてこの制度を知りました。要件を満たせば50%もの学費が国から支給されるというものです。
加えて、大学院を修了し、司法試験に合格すると、一定の要件のもと20%支給額が加算され、結局トータルで約60万程度の学費しかかかりません(このことも、司法試験の合格発表後に気づきました。)。
筑波を検討されている方で、私のように、この制度を知らない方がいらっしゃいましたら、ハローワークのホームページ等でご確認ください。
(2)在学中受験制度
私は、入学するにあたって、この制度のことを知りませんでした。
入学しても学業について行くことに全く自信がなく、長期履修を選んだほうが良いのではないかとも思っていました。結局、長期履修は要件を満たせば入学後でも切り替えが可能とのことでしたので、とりあえず普通のコースを選択しました。
ところが、同じ既修者で入学された同期の方のほとんどが在学中受験を目指しており、迷った末に、この方々について行けるところまでついて行ってみようと思い、予備試験も受けつつ、在学中受験の資格要件を満たす科目数を履修登録しました。
4月に入学してから12月までのスケジュールは極めて厳しいものでしたが、在学中受験の資格が得られたので、入学の翌年の司法試験を受験することにしました。
なお、在学1年目には予備試験も受けたのですが、論文が不合格でした。
(3)受験仲間
筑波に入学するまでは受験仲間と呼べる方は一人もおらず、「個人戦」として、長い間一人で黙々と勉強していまいした。
ところが、本学では、同期の方をはじめとした受験仲間と呼べる方ができ、ある筑波の先生がおっしゃっていたように司法試験に「団体戦」で臨むことができました。
「団体戦」では、「個人戦」ではなかなかできないことができるのではないでしょうか。
例えば、私は昔、極真空手をかじっていたのですが、稽古のなかで、「1000本蹴り」というのがありました。1000本も蹴りをするのは、一人ではとても無理だと思うのですが、周りの方々も蹴っていると、ふらふらになりながらも、思いのほか蹴ることができました。
周りの方々に恵まれ、一緒に勉強できたことが、合格の最大の要因だと思います。
(4)振り返って
筑波に入るまでは長く感じましたが、筑波に入ってから司法試験に合格するまでは本当に早く感じました。あれよあれよと追われ、気づいたら運よく合格していた感じです。
スケジュールはかなりタイトでしたが、詰め込まれたことが、かえって良かったのではないでしょうか。また、コロナ禍でテレワークやリモート授業が多く取り入れられたことも、私にとっては大きな追い風になったと思います。
3.入学を検討されている社会人受験生の方々へ
ア 時間的、経済的環境
当初、私が法科大学院を考えなかった理由は、
①社会人(フルタイム)では通えない②費用が高いと思いこんでいたからでした。
しかし、①筑波では、録画授業やオンライン授業が多く、授業も平日は18時20分から、期末試験も土日がメインで、平日の場合でも19時から始まるなど、社会人でも取り組みやすい環境でした。
②費用についても、前述のとおり、自己負担額はかなり低くできる可能性があります。
イ 教員
現役裁判官、現役検察官、元司法試験委員、元司法研修所の教官、著名な研究者・弁護士の方などが勢揃いしており、その先生方が生徒の目線に立って教えてくださいます。
予備校の教員の方々にも素晴らしい先生方はいらっしゃいますが、やはり比較にならないと思います。
ウ 少人数
必修科目でも40人程度、選択科目では10人程度のクラスなので、お互いの顔がわかります。
エ 授業内容
講義形式もありますが、少なくとも司法試験の科目では、多くが双方向での授業でした。
具体的には、授業中に先生から質問がありこれに答える形式や、小テストを課したり、レポート課題があったりするもので、知識が身に付きやすいです。
オ ゼミ
自主的に、しかも無料で受けることができます。私も多く利用させていただきました。
4.最後に
筑波は、入ってみると意外にアットホーム・フレンドリーで居心地がすごく良いです。
スケジュールは厳しかったですが、先生や学生仲間など、周りの方々は良い人ばかりで、楽しく学修することができました。
私にとって「筑波=希望」だったのですが、運よく「希望=司法試験合格」が叶いました。
司法試験の受験を考えていらっしゃる社会人の方には、筑波を強くお勧めします。
以 上