2023年 4⽉ 筑波⼤学法科⼤学院既修者コース入学
2024年11月 司法試験合格(在学中合格)
2025年 3月 筑波⼤学法科⼤学院既修者コース修了
1.法科大学院入学の経緯
もともと私は法学部出身で、大学生のころ弁護士という職業に何となく憧れを抱いていました。しかし、当時は自分の学力や環境、興味等を考慮し、民間企業への就職を決めました。その後、金融機関やシンクタンクに勤務しましたが、弁護士の仕事の素晴らしさを改めて感じたこと、自分の付加価値をさらに高めたいと思ったことなどから、今の会社に勤めながら弁護士を志すこととしました。その際、後記のとおり、筑波大学法科大学院の環境が様々な面で優れていると感じたため、筑波大学法科大学院への入学を決めました。
2.学生生活
職場から本学のある茗荷谷まで約1時間かかる環境であったため、授業は基本的にオンラインで受講しました。ただし、即日起案のある授業や模擬裁判等は現地で受講しました。
授業は、録画視聴のものも合わせると週4~7コマ(1コマは休憩込みで2時間40分)あり、なかなかハードでした。オンライン環境が整備されている本学だからこそ、やり遂げられたと思います。本来移動時間に充てなければならなかった時間を、予習・復習に充てられたのは大きかったです。
3.筑波大学法科大学院の良かったところ
(1)先生方が分かりやすく熱心に指導してくださること
本学の先生方は、レジュメや授業方法に様々な工夫を凝らしながら、とても丁寧かつ熱心に指導してくださいました。勉強の時間が限られている社会人に、学力をつけさせるノウハウが蓄積されていると感じました。
また、チューターゼミや自主ゼミという、実務家弁護士が少人数で直接指導してくださる課外授業も多く行われていました。講師の司法試験受験や実務の体験談を交えながら、濃密な授業をしていただき、各科目の理解がさらに深まりました。
(2)オンラインによるサポートが充実していること
私は、未就学児の子育てをしながらフルタイムの会社員をしており、家と職場の場所も本学まで約1時間かかるところにありました。そのため、本学に通うハードルはかなり高かったのですが、オンライン環境が充実していたため、実現できました。具体的には、①移動時間の短縮、②子供に何かあってもすぐ対応できる安心感、③聞き直しによる理解の深化、です。
①については、私の場合、18:20からの授業に現地で出席しようとすると、いわゆる 「定時ダッシュ」をする必要があります。自分が勤めている会社では、かなりハードルが高いものでした。しかし、本学はオンラインによる受講が可能であったため、普通に残業をした後18:20までに帰宅し、自宅のパソコンからログインし、リアルタイムで無理なく授業を受けることができました。
②については、授業中に子供の面倒をみることはできませんが、妻に預けながら、自分も同じ家にいることで、「何かあってもすぐ自分が駆けつけられる」という状況を作ることができました。これは、夫婦にとってとても大きな支えとなりました。実際、私が授業を受けている最中、子供の様子がおかしくなり、授業を早退して夜間救急に連れて行ったことがあります。もし全てが現地授業だったら、妻にかかる負担が大きくなりすぎ、子育てとの両立は極めて困難だったと思います。
③については、インプット授業は録画形式でしたので、理解が難しかった箇所を、その場ですぐに止めて何度も聞き直したり、たくさんメモすることができました。その結果、手元の教材は書込みで真っ黒になりましたが、これこそが司法試験当日まで何度も見返す自分の宝物になりました。
このように、オンライン環境の充実は、社会人学生にとって本当にありがたいと思います。
(3)将来の実務を見据えた様々な授業が充実していること
本学では、司法試験科目はもちろん、将来の実務を見据えた授業が充実しており、法曹となった後を意識しながら学ぶことができました
例えば、民事訴訟実務の基礎や刑事訴訟実務の基礎、ロイヤリング等の授業では、実務家の先生が、実務の様々な手続きや考え方を、自身の体験談も含めて分かりやすく教えて下さいました。各授業のレジュメやスライドは大変充実しており、実務に出てから役立つであろう内容が詰まっていました。
また、リーガルクリニックの授業では、実際の法律相談に同席したり、裁判の傍聴をしたりしながら、実務家の先生に法律家としての心構えや考え方を指導していただきました。実務の現場に触れることで、自分が目指している弁護士という職業をとてもリアルに感じることができました。
(4)様々なバックグラウンドをもつ学生と交流できること
1人で勉強していると、情報源がインターネット等に偏り、「自分はこのままでは受からないんじゃないか」「受かっても結局どうなるんだろう」とどんどん不安になるのではないかと思います。
しかし、筑波大学法科大学院では、様々な性別・年代・職業の方が集まり、同じ目標に向かって切磋琢磨しています。また、実務家の先生方から、受かった後の世界をリアルに教えていただくことができます。その中で、将来の自分のキャリアプランがどんどん明確になり、不安感よりも将来の姿を実現しようという気持ちの方が大きくなっていきました。そして、会社員、公務員、経営者、士業など様々な人たちと交流し、笑ったり励まし合ったりしながら色々な話をしたことは、自分の人間としての幅を広げる大切な機会となりました。
4.最後に
このような素晴らしい環境と、先生方・スタッフの皆様の熱心なご指導・サポートにより、在学中に司法試験に合格することができました。
社会人の方が法曹を目指すには、様々なハードルがあると思いますが、筑波大学法科大学院には、これを乗り越えて目標を実現するための様々なサポートが用意されています。法曹を目指す社会人の皆様が、本学で学ばれ、ご活躍されることを心より祈念しております。