司法試験合格後の手続きに関する覚書

司法試験合格後,立て続けに手続きが発生します。 その概要をメモしておきますので,誰かの参考になれば。


修習申し込み

一週間で締め切り

合格発表後,約一週間で修習申込みが締め切られます。 平成25年の日程だと,9月20日(火)に合格発表があり, 17日(火)にはもう修習申込み期限(消印有効)でした。

筑波生の場合,すでに仕事や家庭があることから, 「修習に行くかどうかは合格してから考える」といったスタンスで試験に臨む方が多いでしょう。 しかし合格後に上司や家族に相談していたのでは到底間に合いません。

5月の試験以降,もし合格したらどうするか,周囲への相談を含めて考えておくべきです。

書類集め

申込書に以下の書類を添付する必要があります。 仕事をしながら一週間で集めきれるものではないので, 事前に取得できるものは取得しておきましょう。

  1. 顔写真
  2. 司法試験合格証書のコピー(同年合格者以外の場合)
  3. 戸籍抄本,または本籍地および戸籍筆頭者が記載された住民票の写し
  4. 登記されていないことの証明書
  5. 学校の成績証明書
  6. 学校の卒業年月を証する書面(成績証明書に卒業年が示してある場合には不要)
  7. 退職証明書(追完可。11月までに退職して別途送付すればOK)
  8. 健康診断票

厄介なのは「登記されていないことの証明書」と「健康診断票」です。 前者は法務局の本庁でしかとることができず(たとえば神奈川県であれば横浜), 後者は医師がすぐに発行してくれるところでないと一週間では間に合いません。

裏技として,会社等で3ヶ月以内に健康診断を受けている場合, 医師に頼んで健診結果を所定のフォーマットに転記してもらうという手があります。 これだと費用が安く,すぐできます。


修習地の希望提出

やはり締め切りは一週間

修習申込みと同時に,実務修習地の希望を提出する必要があります。 修習期間(12ヶ月)のうち10ヶ月は実務修習地で過ごし,残り2ヶ月が和光となるので, どこが修習地となるかは非常に重要です。

地方に飛ばされても,引越しや住居の費用は原則として自己負担です。 よって,現住所や実家から通える場所を狙いたいところでしょう。

どう選ぶか

第6希望まで書けますが, 大都市圏(東京/立川/横浜/さいたま/千葉のほか,各高裁所在地を含む) からは最大二つまでしか指定できません。 また第5・第6希望は必ず地方から選択しなければなりません。

途中まで指定して「以下一任」とすると何でも良いとみなされて空き地方に行くことになるとか, 第6希望までみっちり書くと第5第6希望地を優先されるとか,いろいろな噂があります。 いずれも真偽は不明です。

病気,介護,子持ちなどの事情は考慮されます。

一般論として,東京地裁は希望者も多いが枠も大きい(300名前後)ため,競争率は低くなります。 筑波大生(家族持ちで30代以降の人が多いでしょう)が東京を第一希望とした場合には, かなりの確率で認められるようです。

以上を踏まえた結果,東京とその他ひとつの南関東圏を上位希望にし, 実家等の事情を踏まえて第3希望以下を埋めていくというのが筑波大生のセオリーとなっています。


合格証を取りに行く

10月頭頃,郵送または霞ヶ関の法務省に出向いていって,司法試験合格証を受け取ります。 住民票が必要となります。

同じく10月頭の官報には,合格者名簿が掲載されます。 せっかくだから買っておきましょう。


事前課題をやる

修習地が決まったのち,司法研修所からテキスト一式が送られてきます。

修習5科目(民裁,刑裁,検察,民弁,刑弁)の各々に, けっこう分量のある事前課題が用意されています。 合格後の祝賀ムードや怠け気分を切り替えて早々に着手しないと間に合いません。 筑波では修習直前まで仕事を続けるという人が多いのですが, 一定の余裕を考えておく必要があります。

事前課題用のテンプレートもありますので, よろしければご利用ください。


2013年11月4日
平野敬 / HIRANO, Takashi
hirano@lawschool.tsukuba.ac.jp